リハビリmemo

大学病院勤務・大学院リハビリテーション学所属の理学療法士・トレーナーによる「最新の研究をトレーニングにつなげるための記録」

歩行立脚期の機能改善には、この装具で。

スポンサーリンク

 

reference)

Effects of an ankle-foot orthosis with oil damper on muscle activity in adults after stroke.

Gait & Posture, 2011

オイルダンパー継ぎ手の短下肢装具を使用することによる歩行中の足関節機能への影響について検討した報告。

慢性期脳卒中患者11名、健常者11名を対象に、オイルダンパー短下肢装具(Ankle-foot orthosis with an oil damper: AFO-OD)、底屈制動短下肢装具(Ankle-foot orthosis with a plantarflexion stop: AFO-PS)をそれぞれ使用し、快適歩行時における歩行能力、足関節機能を評価した。

①足関節底屈抵抗トルク

②足関節角度

③足関節周囲筋の筋活動(前脛骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋)

 その結果、①底屈抵抗トルク:健常者は、loading response(LR)、pre-swing(PSw)の2つの時期にピークが認められた。AFO-PSに比べ、AFO-ODでは、LRにのみ増大し、PSwでは変化しなかった。②足関節角度は、AFO-ODでは、initial contact直後の底屈角度が増大した。③筋活動は、AFO-PSに比べ、AFO-ODでは、LR時の腓腹筋の筋活動が低下した。また、このLRでの腓腹筋の筋活動低下と底屈抵抗トルクの増加には相関関係が認められた。

 AFO-ODの使用は、loading response時の底屈抵抗トルクを生じさせるとともに、底屈角度を増加させることによって、heel rocker functionをアシストすることにつながる。また、前脛骨筋の筋活動を変化させることなく、腓腹筋の筋活動を低下することによって、生理的な相反性筋活動を生じさせる可能性が示唆された。

とのこと。

f:id:takumasa39:20120419231305p:plain

 片麻痺歩行における「制動機能」に目を向けた報告と思われる。これまでは、麻痺側下肢の推進力を如何に高めることに主眼がおかれてきたが、この短下肢装具は、heel rocker functionをアシストすることで、制動力とともに、LR時の脛骨前方移動を誘導し、膝の軽度屈曲に伴う、大腿四頭筋の遠心性収縮を生じさせる生理的な歩容を引き出せる可能性がある。これは、運動連鎖的に股関節の伸展機能の改善にもつながる。

 床反力計を用いた研究でも示されているが、歩行における推進力と制動力は等しい関係にある。つまり、制動機能の獲得は、推進力を発揮できる環境を提供する。今回の研究では示されていないが、麻痺側・非麻痺側のpre-swingでの床反力成分や非麻痺側下肢の筋活動変化、麻痺側下肢のswing phaseにおける加速度変化などについて興味がある。さらなる調査を待ちたい。

rocker function改善には、是非、ゲイトソリューションを!

 ゲイトソリューションを開発された山本澄子教授は、平成23年度文部科学大臣表彰の科学技術賞(開発部門)を受賞されている。義肢装具で文部科学大臣から表彰を受けるのは初めての快挙とのこと。

 

 

脳卒中リハビリシリーズ

脳卒中リハビリ①:バランス感覚には、足底感覚へのアプローチ! 

脳卒中リハビリ②:自転車トレーニングでは、速度一定でお願いします。

脳卒中リハビリ③:脳卒中早期からFES自転車運動で体幹機能を高めよう!

脳卒中リハビリ④:FES自転車運動は姿勢制御に効果的

脳卒中リハビリ⑤:自転車トレーニングは、ただ漕いでるだけじゃダメ。

脳卒中リハビリ⑥:自転車で突っ張る筋肉をほぐせるかも。

脳卒中リハビリ⑦:歩行スピードを高めたいなら、足関節背屈筋力を高めよう。

脳卒中リハビリ⑧:歩行距離をのばすには、やっぱり足関節背屈筋力?

脳卒中リハビリ⑨:上手に歩くためには、エンジンとブレーキ、どっちが大事?

脳卒中リハビリ⑩:歩行立脚期の機能改善には、この装具で。

脳卒中リハビリ⑪:遊脚期の足関節背屈を増強させる新しいトレーニング

脳卒中リハビリ⑫:視覚的フィードバックで知らないうちに歩行が変わる?

脳卒中リハビリ⑬:フィードバック療法で麻痺側の足を使えるようにしよう。

脳卒中リハビリ⑭:非麻痺側下肢も見逃すな。

脳卒中リハビリ⑮:ただ自転車を漕ぐだけではダメな根拠

脳卒中リハビリ⑯:片麻痺にもインソールは有効。

脳卒中リハビリ⑰:中殿筋への機能的電気刺激療法は、歩行の対称性を改善させます

脳卒中リハビリ⑱:効果的な立ち上がり練習の方法

脳卒中リハビリ⑲:立ち上がり動作と荷重感覚

脳卒中リハビリ⑳:筋力トレーニングだけでは効果なし

 

「説明がわからない」「これが知りたい」などのご意見はTwitterまでご気軽にご連絡ください。