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リハビリmemo

大学病院勤務、大学院リハビリテーション学所属の理学療法士による、研究と臨床をつなげるための記録

自分でねこ背を計る方法(前編:科学的根拠の確認)

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しつこいようですが、

 

ねこ背になると転びやすくなります。

 

ねこ背になると転倒しやすくなる 〜大規模研究による検証〜

 

その原因は胸椎の後弯ではなく、腰椎が後弯してしまうことにあります。

 

ねこ背になると転倒しやすくなる 〜本当の犯人は?〜

 

腰椎の後弯が進み、腰椎がほぼまっすぐ(フラットバック:flat back)になるとさらに転ぶリスクが高くなります。

 

ねこ背になると転倒しやすくなる 〜腰がまっすぐになると…〜

 

簡単にいうと、ねこ背になり、腰の腰椎がまっすぐになると転びやすくなることがわかりましたね。

 

ところが、自分はどのくらいねこ背なのか?腰椎はどの程度、まっすぐになってしまっているのか?どのくらい転びやすい状態にあるのか?計る術がありません。

計るためには全身のレントゲン写真を撮ることが必要となってきます。

しかし、実はこのレントゲン写真から脊椎や骨盤の位置関係を計る方法を応用することで、自分でねこ背の程度を計り、いかに転びやすいのかを知ることができるのです。

 

その方法をご紹介する前に、私は、個人でできるトレーニングや評価方法を指導する場合、必ず科学的根拠が示されるべきだと考えています。それは指導する者の説明責任であり、根拠のない誤った方法により事故を引き起こすことを防ぐためでもあります。

今回は、自分でねこ背の程度を計る方法をご紹介する前に、まずは以下の論文を参考にその科学的根拠を確認していきましょう。

 

reference)

Sagittal parameters of the spine: biomechanical approach

Pierre Roussouly, 2011

 

ヒトが立った状態で、背骨から骨盤までを全体的に横から見た位置関係をグローバル・スパイナル・アライメント(Global spinal alignment)といい、その前後方向へのバランスをグローバル・スパイナル・バランス(Global spinal balance)と放射線医学の領域では呼ばれてます。

f:id:takumasa39:20150222183435p:plain

それでは、最も前後バランスの良い立位姿勢とはどのような位置関係になるのでしょうか?

 

運動学的に言われる良い姿勢は「重心線が5つのポイントを通る姿勢」です。

重心線とは重心が通る線のことを言いますが、この線が①〜⑤のポイントを通っていると良い姿勢となります。

①耳たぶ

②肩峰

③大転子

④膝関節の前面

⑤外くるぶしの2〜5cm前方

 

f:id:takumasa39:20150222224256p:plain

 

しかし、この5つのポイントでは上手に背骨や骨盤の位置関係を説明することができません。また、レントゲン写真の分析でも使えません。

そこでレントゲン写真で簡単に使えて、ねこ背の程度も示せる分析方法が研究されました。

 

その方法がC7PL(C7 plumb line)です。

 

C7PLはその名の通り、C7(頚椎の7番目の椎体)を中心に、そこから鉛直方向(plumb)へ線(line)をひいて分析する方法です。

f:id:takumasa39:20150222224726p:plain

 

以前、ねこ背はその進行の程度によって2つに分けることができることを説明しました。

ねこ背になると転倒しやすくなる 〜本当の犯人は?〜

ねこ背は胸椎から始まりますがある程度は腰椎の前弯で代償できます。これを胸椎後弯期としましたね。

さらに、ねこ背が進むと腰椎の前弯による代償が困難になり、腰椎が後弯してきてしまいます。これを腰椎後弯期としました。

そして、この腰椎後弯期になると転倒しやすくなるんでしたよね。

 

では、これをC7PLで示してみましょう。

C7PLでは、7番目の頚椎からの鉛直線が仙骨からどの程度、前方への偏移するかで分析していきます。

 

まず正常(ねこ背でない)場合は、鉛直線は仙骨上を通ります(図①)。

次にねこ背だけど腰椎で代償している胸椎後弯期では、鉛直線は仙骨から大転子の間に位置します(図②)。

最後に腰椎で代償できなくなったしまったねこ背、つまり腰椎後弯期では、鉛直線は大転子から前方に位置するようになります(図③)。

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(図:Cedric Barrey, 2013より)

 

バランスの観点で言うと、①はバランス良好、②は胸椎の後弯の増加によりバランスが前方へ不安定になりそうですが、なんとか腰椎で代償している、③は腰椎も伸びきってしまい、バランスが前方へ不安定になり転倒リスクが高い状態、ということになります。

 

このようにC7PLを用いると、ねこ背の進行度合い、そして転倒のリスクも診断することが可能なのです。つまり、C7PLはグローバル・スパイナル・アライメントとともにスパイナル・バランスを評価する科学的にもその有用性が証明されている方法なのです。

 

では、このC7PLを実際の見た目だけで、それも自分一人で計測することができるのでしょうか?

次回、その方法をご紹介していきましょう。

 

 

ねこ背シリーズ 

ねこ背シリーズ①:ねこ背になると歩き方も変わる?

ねこ背シリーズ②:ねこ背になると生活がつまらなくなる?

ねこ背シリーズ③:「背が低くなったんじゃない?」と言われた要注意!

ねこ背シリーズ④:ねこ背になると転倒しやすくなる 〜大規模研究による検証〜

ねこ背シリーズ⑤:ねこ背になると転倒しやすくなる 〜本当の犯人は?〜

ねこ背シリーズ⑥:ねこ背になると転倒しやすくなる 〜腰がまっすぐになると…〜

ねこ背シリーズ⑦:自分でねこ背を計る方法(前編:科学的根拠の確認)

ねこ背シリーズ⑧:自分でねこ背を計る方法(後編:C7PL2.0をやってみよう!)

ねこ背シリーズ⑨:ねこ背と骨盤の代償運動を理解しよう

ねこ背シリーズ⑩:なぜ、ねこ背になるのか?

ねこ背シリーズ⑪:ねこ背の原因は背筋の霜降り化?

ねこ背シリーズ⑫:ハイヒールを履くとねこ背になる?

ねこ背シリーズ⑬:ねこ背と柔軟性 〜腰椎の柔らかさが大事〜

ねこ背シリーズ⑭:ねこ背になると肩が上がらなくなる?

ねこ背シリーズ⑮:座る姿勢がねこ背の原因になる?

 

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