リハビリmemo

大学病院勤務・大学院リハビリテーション学所属の理学療法士・トレーナーによる「研究と臨床をつなげるための記録」

ストレッチは毎日続けなくてもいいんです

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 「継続は力なり」

 

 確かにその通りですが、人はそこまで強くありません。やらないといけない…と思いながらも…明日でいいや!と思うものです。もし、「週に数回のストレッチでも毎日のストレッチと同じ効果がある」ということを知ったら、少しはやってみようかなと思えるかもしれません。今回は、このテーマについて考察していきましょう。

 

Table of contents

 

 

◆ 週に3日のストレッチでも効果がある

 

 ストレッチングの効果は「時間依存性(time dependent)」にもとづくとされています。簡単に言えば、時間をかければかけるほど筋や腱が伸びるということです。この性質から考えれば、ストレッチングの効果を最大化するための合理的な方法は、毎日、ストレッチングを行うことになります。それでは、週に3日という断続的なストレッチングでは効果がないのでしょうか?

 

 Marquesらは、ストレッチングを週1日行うグループ、週3日行うグループ、週5日行うグループの3つに分けて6週間後の効果について比較しました。

 

 その結果、全てのグループで柔軟性が増加しました。また、週1日のグループよりも週3日、週5日のグループに柔軟性の増加が認められました。興味深いのは、週3日と週5日のグループでは有意な差が認められかったことです。つまり、ストレッチングを週3日行った場合でも、週5日行った場合でも効果に差がないことが明らかになったのです。

 

 他の研究においても週3日〜4日で2ヶ月ほど行った場合、柔軟性は十分に増加することが報告されています。

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 これらの報告から、週に3日のストレッチングでも十分に効果があることがわかりました。しかし、週に3日のストレッチングでは、毎日のストレッチングに比べて効果が劣ってしまうのでしょうか?

 

 

◆ 週に3日のストレッチは毎日のストレッチと同じ効果がある

 

 この問いについて、Ciprianiらのグループは2つのランダム化比較試験によって検証しています。

*ランダム比較試験(Randomized Controlled Tria:RCT)とは最もエビデンスのあるメタアナリシスに次いで根拠の質が高い研究手法のことを言います。

 

 Rancourらは、週に2〜3日行うストレッチングの効果について検証しました。対象者を毎日ストレッチングを行うグループと週に2〜3日行うグループに分け、4週間後の柔軟性の変化を比較しました。

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 その結果、4週間後、両群ともに柔軟性は増加し、両群に有意な差は認められませんでした。

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 この結果から、週に2〜3日ストレッチングを行うだけで、毎日ストレッチングを行うことと同じ効果があることが示唆されたのです。

 

  また、Ciprianiらは、毎日ストレッチングを行うグループと週に3日行うグループに分け、さらにそれぞれを1日2セット行うグループと1日1セット行うグループの計4グループに分けて、4週間後の効果について比較しました。

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 その結果、4週間後には、すべてのグループにおいて柔軟性は増加しました。そして、S3を除く3つのグループに有意差は見られませんでした。

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 S3は週に3日、1日30秒2回を1セット行うグループであり、他の3つのグループに比べ、ストレッチング時間が少ないため、効果に差が見られたと著者は述べています。しかしながら、週に3日でも1日30秒2回を2セット行うグループは、毎日行うグループと効果に差は認められませんでした。これにより、週に3日のストレッチングでも、毎日のストレッチングと同等の効果を得られることが明らかになったのです。

 

 以上から、週に3日でも毎日のストレッチングと同等の効果があることが示されているのです。

 

 

 ストレッチングを毎日続けることは、時間依存性の観点から見ても効果的なのは間違いありません。しかし、時間は有限です。やはり、最小限の努力で最大の効果を生み出したいものです。ストレッチングは毎日続けなくてもてもいいので、週に3日以上は行うようにしましょう。そうすることで、毎日のストレッチングと同じ効果が期待できるのです。

 

 私は、今まで紹介した知見をもとに、ストレッチングの時間・回数・頻度は以下のようにお願いしています。

 

 「ストレッチングは、1日30秒3回以上、週3日以上は頑張りましょう」

 

 

◆ 読んでおきたい記事

ストレッチの科学①:ストレッチはパフォーマンスを低下させる(前編)

ストレッチの科学②:ストレッチでパフォーマンスを低下させない方法 

ストレッチの科学③:効率的で効果的なストレッチの時間と回数 

ストレッチの科学④:ストレッチは毎日やらなくてもいいんです

ストレッチの科学⑤:ストレッチはいつするのが効果的か? 

ストレッチの科学⑥:ストレッチは高齢者の歩行能力を高める

ストレッチの科学⑦:ストレッチの効果はどのくらい持続するのか?~即時効果編~ 

ストレッチの科学⑧:ストレッチの効果はどのくらい持続するのか?〜習慣的な効果〜

ストレッチの科学⑨:ストレッチのメカニズム その1

ストレッチの科学⑩:ストレッチのメカニズム その2

ストレッチの科学⑪:ストレッチにダイエットの効果はありません  

ストレッチの科学⑫:ストレッチのウソ?ホント? 〜まとめ〜

 

References

Reid DA, et al. (2004) Passive force, angle, and stiffness changes after stretching of hamstring muscles. Med Sci Sports Exerc. 11: 1944-8.

Decoster LC, et al. (2004) Standing and Supine Hamstring Stretching Are Equally Effective.J Athl Train. 2004 Dec;39(4):330-334.

Yuktasir B, et al. (2009) Investigation into the long-term effects of static and PNF stretching exercises on range of motion and jump performance. J Bodyw Mov Ther. 2009 Jan;13(1):11-21.

Marques AP, et al. (2009) Effect of frequency of static stretching on flexibility, hamstring tightness and electromyographic activity. Braz J Med Biol Res. 2009 Oct;42(10):949-53.

Rancour J, et al. (2009) The effects of intermittent stretching following a 4-week static stretching protocol: a randomized trial. J Strength Cond Res. 2009 Nov;23(8):2217-22.

Cipriani DJ, et al. (2012) Effect of stretch frequency and sex on the rate of gain and rate of loss in muscle flexibility during a hamstring-stretching program: a randomized single-blind longitudinal study. J Strength Cond Res. 8 :2119-29.