「ベンチプレスで大胸筋を損傷する人が増えている」
2012年、カナダ・ヨセフ健康センターのElMaraghyらは、過去に報告された大胸筋損傷に関する知見をレビューしたところ、近年になって大胸筋損傷の報告件数が急速に増加していることを明らかにしました。
1822年〜2010年までの大胸筋損傷の報告件数は365件ありましたが、その76%が1990年以降に報告されていたのです(ElMaraghy AW, 2012)。
Fig.1:ElMaraghy AW, 2012より筆者作成
ElMaraghyらは、その理由についてこう述べています。
「近年のフィットネス人口の増加により、ベンチプレスで大胸筋を損傷する人が増えている」
そしてこう続けます。
「大胸筋損傷はさらに増加するだろう」
今回は、大胸筋損傷のメカニズムや重症度、その予防方法について考察していきましょう。
Table of contents
◆ 大胸筋損傷の重症度は部位によって異なる
1822年、初めて大胸筋損傷の症例が報告されました。それは肉屋の少年であり、誤ってナイフで自分の大胸筋を切ってしまったというものでした。その後も少数の報告が見られましたが、主な症例は馬車を操る御者であり、馬にひっぱられた手綱を抑えようとして受傷するケースがほとんどでした。
しかし、1990年以降になると、極端に大胸筋損傷の報告が増加します。その症例の多くがトレーニーであり、ベンチプレスで損傷していたのです。
ベンチプレスの主動作筋(主に活動する筋肉)は大胸筋と上腕三頭筋です。ベンチプレスでは、肩を外転位(脇を広げる)にしたところから肩を伸展し、肘を下ろしながらバーベルを下げていきます。
そして、肩がもっとも伸展される(肘がもっとも下がる)30〜40度付近で、大胸筋損傷が生じやすいことが示唆されています(ElMaraghy AW, 2012)。
バーベルを下げるにしたがって大胸筋には遠心性収縮(筋肉が収縮しながら伸ばされる)が生じます。遠心性収縮は筋肥大の効果を高めますが、筋損傷も誘発しやすい収縮様式です(Lavender AP, 2006)。また、バーベルを下げるほど、運動の可動範囲は広がり、これも筋肥大の効果を高めますが、同時に筋損傷のリスクも増加させます(Baroni BM, 2017)。
このような状況下で、筋損傷の要因とされるウォームアップ不足やオーバートレーニングが合わさることによって、大胸筋損傷が生じるのです。
大胸筋損傷の好発部位は主に筋腹、起始部、付着部の3つに分けらます。注目すべきことは「これらの部位によって重症度が異なり、手術の有無を判断できる」ということです。
カナダ・ヨセフ健康センターのElMaraghyらが過去の知見から作成した大胸筋損傷の重症度分類によると、筋腹部と起始部の損傷では手術の必要性が低く、安静や内服などの保存的治療が適応になります。
Fig.2:ElMaraghy AW, 2012より筆者作成
大胸筋の付着部では手術の必要性が高くなります。これは付着部には大胸筋の腱が集まっており、ここでの損傷は「腱の断裂」を引き起こしてしまうからです。断裂した腱は自己修復が難しいため、手術が必要になります。
Fig.3:ElMaraghy AW, 2012より筆者作成
この分類は、大胸筋損傷時の緊急性の判断を助けてくれます。ベンチプレスで大胸筋の筋腹や起始部に痛みが生じたときは緊急性が低く、付着部の痛みや内出血は緊急性が高いと判断することができます。付着部の損傷では、腱が断裂している可能性があるため、早急に病院で診察を受けることが推奨さています。
では、なぜ付着部の損傷は重症化しやすいのでしょうか?
大胸筋は、その解剖学的特徴から鎖骨頭部(CH)と胸骨頭部(SH)に分けられます。鎖骨頭部は鎖骨に起始をもつひとつの筋肉であり、胸骨頭部は胸骨に起始をもつ7つ(s1〜s7)の小さな筋肉の集合体です。その大きさは大胸筋の8割を占めています。
Fig,4:ElMaraghy AW, 2012より筆者作成
鎖骨頭部、胸骨頭部ともに上腕の内側にある上腕骨大結節稜に付着しており、胸骨頭部のs5〜s7はねじれながら付着しています。
Fig.5:ElMaraghy AW, 2012より筆者作成
そしてベンチプレスによって断裂しやすいのが、このs5〜s7なのです。
ベンチプレスでバーベルを下げる際にもっとも伸ばされるのが胸骨頭部のs5〜s7であり、その伸びは他の部位の2倍とされています。この過度な伸張により、s5〜s7のペネトレーション角が減少し、筋出力が過度に増加するため断裂が生じやすくなるのです。
✻ペネトレーション角とは、筋線維と腱の向きの角度のことであり、角度が小さいほど筋出力が高くなり、角度が大きくなるほど筋出力が低くなります。
◆ 大胸筋損傷の治療期間と予防方法
では、大胸筋の損傷・断裂の治療にはどの程度の期間がかかるのでしょうか?
大胸筋の筋腹や起始部の損傷は、肉離れと同じように保存的治療の対象になります。受傷してから1~2週間は三角巾などで安静に努め、その後は大胸筋のストレッチングを行いながら、肩の可動域を広げていきます。受傷後4〜6週より軽い負荷でのトレーニングを開始し、6〜8週から本格的なトレーニングに移行します。
保存的治療の成績は、症例の7割がトレーニングやスポーツに復帰できます。しかし、治療が思うように進まない場合は手術を検討することになります。
大胸筋の付着部の断裂は、手術の対象になります。術後、本格的なトレーニングに復帰するためには約6ヶ月の期間が必要になります。手術の成績は良好であり、症例の9割がトレーニングやスポーツに復帰できています(Provencher MT, 2010)。
保存的治療、手術ともに高い治療成績を示していますが、トレーニングに復帰するまでに保存的治療で8週間、手術で6ヶ月の期間がかかります。これだけ長い間、トレーニングができないことは、トレーニーにとって残酷なことです。
では、大胸筋損傷を予防する特別な方法はあるのでしょうか?
残念ながら、これをすれば大胸筋損傷を防げるという答えはありません。ウォームアップをしっかり行う、オーバートレーニングに注意するといった一般的な肉離れの予防方法を実践することが大切になります。
2015年、キャンベラ大学のMcGowanらは、トレーニング前の効果的なウォームアップについてのレビューを報告しています。そこで推奨されているのが有酸素運動と特異的ウォームアップです(McGowan CJ, 2015)。
生物は身体が温まると動きが活発になるように、筋肉も温度が高くなると筋力が発揮しやすくなります。筋肉温度が1度上昇すると筋力が4%増加することが報告されています(Bishop D, 2003)。そこで筋肉温度を上昇させるウォームアップとして推奨されているのが有酸素運動であり、ジョギングやペダリングです。McGowanらは10分〜20分ほどの有酸素運動を推奨しています。
有酸素運動によって筋肉の温度が上昇した後に行うべきなのが特異的ウォームアップです。
特異的ウォームアップといっても難しいことではありません。ベンチプレスを行う前に最大重量の30%程度の低負荷から段階的に重量を増やしていくというものです。これにより神経活動が活性化され、最大筋力を高める効果が示唆されています(Sá MA, 2016)。
トレーニングの前にはジョギングやペダリングによって筋肉温度を上昇させ、ベンチプレスを行う前には特異的ウォームアップを行い神経活動を高めることが大胸筋損傷の予防に寄与する可能性があります。
『筋トレの効果を最大にするウォームアップの方法を知っておこう』
大胸筋損傷は稀な筋損傷です。しかし、損傷部位によっては重症化する可能性があります。特に上腕内側の痛みや内出血が生じた場合には、腱断裂の可能性があるのですぐに病院で診察を受けましょう。
ただベンチプレスで大胸筋を追い込むのではなく、大胸筋損傷のリスクを知るとともに、ウォームアップをしっかりと行い、オーバートレーニングに注意し、技術的な問題はトレーナーに確認するといったことが、大胸筋にとって厳しくとも優しいトレーニングになるのです。
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シリーズ58:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか問題
シリーズ59:筋トレの効果を最大にする食品やプロテインの選ぶポイントを知っておこう
シリーズ60:ベンチプレスをするなら大胸筋損傷について知っておこう
シリーズ61:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう(2018年4月版)
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◆ 参考論文
ElMaraghy AW, et al. A systematic review and comprehensive classification of pectoralis major tears. J Shoulder Elbow Surg. 2012 Mar;21(3):412-22.
Lavender AP, et al. Changes in fluctuation of isometric force following eccentric and concentric exercise of the elbow flexors. Eur J Appl Physiol. 2006 Feb;96(3):235-40.
Baroni BM, et al. Full Range of Motion Induces Greater Muscle Damage Than Partial Range of Motion in Elbow Flexion Exercise With Free Weights. J Strength Cond Res. 2017 Aug;31(8):2223-2230.
Provencher MT, et al. Injuries to the pectoralis major muscle: diagnosis and management. Am J Sports Med. 2010 Aug;38(8):1693-705.
McGowan CJ, et al. Warm-Up Strategies for Sport and Exercise: Mechanisms and Applications. Sports Med. 2015 Nov;45(11):1523-46.
Bishop D. Warm up I: potential mechanisms and the effects of passive warm up on exercise performance. Sports Med. 2003;33(6):439-54.
Sá MA, et al. Acute Effects of Different Methods of Stretching and Specific Warm-ups on Muscle Architecture and Strength Performance. J Strength Cond Res. 2016 Aug;30(8):2324-9.