リハビリmemo

大学病院勤務・大学院所属の理学療法士・トレーナーによる「最新の研究をトレーニングにつなげるための記録」

筋トレの7つの「新常識」


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 新刊「科学的に正しい筋トレ 最強の教科書」から『序章:筋トレに関する7つの「新常識」』を出版社の許可を得て掲載します。

 

 

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 この10年で筋トレに関する研究報告の数は約4倍に増え、スポーツ科学や栄養学から「新たな常識」となる科学的根拠(エビデンス)が示されるようになりました。そこで序章では、新刊の内容を要約した筋トレの7つの新常識をご紹介しています。



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【新常識①】筋トレの成果は、バーベル、ダンベルの重さで決まらない

 

 筋肉を大きくしたい(筋肥大)と考えた場合、従来の筋トレの〝常識〟では「とにかく高強度のトレーニングをひたすらやり続ける」ことが推奨されていました。

 

 しかし、最新のスポーツ科学は「低強度トレーニングでも、回数を増やせば、高強度と同じ効果が得られる」ことを示唆しています。これは100kgのバーベルを10回挙げた場合と、50kgを20回挙げた場合では、筋肥大の効果は同じになるということです。

 

 ならば、筋肥大の効果を最大化するためには何を意識すればいいのでしょう。実はこの点についても従来の〝常識〟が覆されています。それは「筋肥大の効果を最大化する決め手となるのは、従来言われていた運動強度ではなく、『総負荷量』にある」ということ。さらに、「総負荷量は、トレーニングの強度(重量)×回数×セット数によって決まる」ということです。

 

 現在はさらに研究が進み、筋肥大の効果を最大化するための「筋トレ方程式」が導き出されています。第1章ではこの「筋トレ方程式」について詳しく解説します。

 

 

【新常識②】生体力学が明らかにした「正しい筋トレのフォーム」

 

「スクワットでお尻の筋肉である大殿筋に効かせるにはどのようなフォームが良いのか?」

「なぜ、ベンチプレスをすると肩が痛くなってしまうのだろう?」

デッドリフトで膝を伸ばすタイミングは?」

 

 これまでトレーニングの方法論は、トレーナーの経験にもとづいて指導されてきました。経験論は実践に裏打ちされた理論であり、私たちにとっても参考となる情報です。しかし、一方でこのような質問に根拠をもって答えることができないのも事実です。

 

 近年、スポーツ科学や栄養学とともに、急速に研究報告の数が増えているのが生体力学の分野です。

 

 生体力学の研究では、バーベルの重心と身体の各関節との関係性から回転力(モーメント)を導き出すことにより、トレーニングのフォームによって筋活動が異なるメカニズムを理解したり、関節に生じる負担を推測することが可能となりました。

 

 このような生体力学の発展により、筋トレのビッグ3と言われるスクワット、ベンチプレス、デッドリフトのフォームや方法論についてのエビデンスが構築され始めているのです。

 

 第2章では、筋トレの効果を最大にするためのウォームアップやクールダウンの方法論から、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの生体力学に裏打ちされたトレーニング方法について説明していきます。

 

 これを読むことによって、先述の質問の答えが理解できるとともに、けがをしない、コンディションに合わせた「正しいトレーニング方法」を知ることができるはずです。

 

 

【新常識③】従来の常識を覆す「タンパク質の最適な摂取方法」

 

 従来の筋トレの〝常識〟では、「筋トレ直後は、タンパク質摂取のゴールデンタイム」と言われていました。たしかに、筋トレ直後は筋タンパク質の合成感度が高まるため、そのタイミングでタンパク質を摂取することは効果的です。

 

 しかし、最新のスポーツ栄養学は「それだけではまだまだ足りない!」としています。なぜなら、筋タンパク質の合成感度は「少なくとも筋トレ直後から24時間後まで上昇したままでいる」からです。つまり、タンパク質摂取は「筋トレ後の24時間」を意識して行う必要があるわけです。

 

 また、現在の研究では、「筋トレ後の24時間で摂取すべき最適なタンパク質摂取量」が明らかになっており、24時間で摂取すべき最適な摂取パターンを導く指標も生まれています。さらに、筋トレに効果的な食べ物の種類や摂取法、筋タンパク質の合成を促進させる「良質なタンパク質」の見極め方などについても次々と明らかになっているのです。

 

 第3章では、筋トレの効果を最大化させる「タンパク質の摂取方法」の新たな常識について説明しています。しかし、ここで気になるのが、タンパク質を多く摂取しても腎臓は大丈夫なのか?ということですよね。



【新常識④】タンパク質を摂っても「腎臓」は悪くならない

 

 筋トレによって筋肉量を増やすためには、筋肉のもととなる筋タンパク質の合成量を増やさなければなりません。そこで必須になるのがタンパク質の摂取です。筋トレに励む人にとってはタンパク質は欠かせない栄養素ですが、従来の〝常識〟では「タンパク質の過剰摂取は腎臓に悪い影響を与える」とされていたこともあり、プロテインなどを飲む際に不安を感じていた方も多かったようです。

 

 腎臓は、身体に溜まった老廃物の排出、水分量の調整など、私たちの身体にとって重要な働きを担っていますが、過去に行われた動物実験では、タンパク質の過剰摂取が腎臓にダメージを与えることが指摘されたほか、腎不全の治療ではタンパク質の摂取を制限する食事療法が重視されてきました。こうした背景から、「タンパク質の摂取は腎臓にダメージを与えるだろう」と考えられていたのです。

 

 タンパク質と腎臓の関係をめぐるこの問題については、明確な答えを出すための介入研究が難しいこともあり、肯定派と否定派の間で長きにわたる議論が続いてきました。

 

 しかし最近になり、かつてないほど大規模な観察研究が行われた結果、「タンパク質の食品源をきちんと見極め、過剰に摂取しなければ、腎臓にダメージを与えない」ことが示唆されています。

 

 悪者のように言われていたタンパク質は、実は悪者ではなかったのです。



【新常識⑤】筋トレに効くサプリメント、効かないサプリメント

 

 いまや「サプリメント」は、美容や健康をサポートするものとして私たちの生活に広く浸透しています。

 

 筋トレをする人にとってもなじみ深い「サプリメント」ですが、最近は筋トレ時のパフォーマンスを高める栄養素や成分を含む「エルゴジェニックエイド」と呼ばれるサプリメントも注目を集めています。しかし、従来は科学的エビデンスを伴わないものも数多くあり、その効果についてもまさに玉石混淆でした。

 

 当然ながら、サプリメントの効果と安全性は、科学的なエビデンスにもとづいてしっかり確認すべきです。事実、最新の研究によって効果が否定されたもの、あるいは病気になるリスクが指摘されたものもあります。しかし、その良し悪しを判断するための確たる基準がなかったこともあり、多くの人が半信半疑のうちに摂取していました。

 

 そうしたところに2018年、国際スポーツ栄養学会(ISSN)から筋トレとサプリメントの効果に関するレビューが報告され、このなかでサプリメントを見極める際の新たな〝常識〟となる分類表が示されたのです。

 

 第3章では、良質なタンパク質を摂取するための食事のあり方とともに、プロテインを含むサプリメントを摂取するタイミング、先の分類表を踏まえて「筋トレに効くサプリメント、効かないサプリメント」を最新エビデンスを紹介しながら解説します。



【新常識⑥】筋トレが「病気に強いカラダ」を与えてくれる

 

 健康増進に役立つ運動と言えば、従来はジョギングやウォーキングなど有酸素運動が推奨されていました。しかし、近年の公衆衛生学の分野では、新たに筋トレがトピックになっています。そのきっかけとなったのが、2017年にオーストラリア・シドニー大学から出された研究報告です。その内容を要約すると、次のようになります。

 

 週2回以上の筋トレはがんの死亡率を3割減少させ、すべての病気による死亡率を2割減少させる。また、このような効果はジムだけでなく、家で行うトレーニングでも同等に得られる。さらに、有酸素運動よりも筋トレのほうが死亡率の軽減に寄与する。

 

 様々な分野の研究報告では、筋トレを行うことで血圧低下、グルコースブドウ糖代謝の改善、全身性炎症の減少といった複合的な効果が得られることが示唆されており、その結果として死亡率の軽減に寄与していると推測されています。

 

 また、筋肉は私たちの身体を作る原料となるアミノ酸の貯蔵庫となっています。身体はアミノ酸が不足すると筋肉に貯められたアミノ酸を分解し、エネルギー源として活用します。

 

 つまり、筋肉量が多いほど、たくさんのアミノ酸を貯めることができるわけです。病気やケガをしたとき、手術をしたときなどは、筋肉中のアミノ酸貯蔵量が多いほど回復力が高くなり、ケガの治りや手術の予後も良くなるといった研究報告も出されています。

 

 筋トレが病気やケガに効くことを示した研究報告は従来なかったもので、最新のエビデンスがもたらした筋トレの新たなメリットとして世界から注目を集めています。



【新常識⑦】筋トレが続かない理由は「ヒトの進化」にあり

 

 筋トレを始めても三日坊主で終わってしまった、ジムに通い始めたけれど最近はご無沙汰気味だ、という人はたくさんいます。効果があることを理解していながら、なぜ、私たちは筋トレを続けることができないのでしょう?

 

 従来、その理由として最も多かったのが「意思が弱いから、根性がないから」というものでした。ところが、現代の進化論によれば、その本当の理由は数百万年にわたる「ヒトの進化の過程にある」ということがわかったのです。

 

 また現在、行動経済学や心理学では「行動の習慣化」に関する研究が大きなトピックになっており、金銭的インセンティブを含む報酬と筋トレの関係、目標達成に向けて様々な誘惑を回避するための方法など、ユニークな研究報告が次々と登場しています。これらは筋トレだけでなく、ビジネスにも役立つヒントになるはずです。

 

 第4章では、筋トレと病気の関係、筋トレを続けられない理由、筋トレを続けるための技術などについて詳しく解説していきます。

 

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