referance)
Journal of neuroengineering and rehabilitation, 2011
視覚的フィードバックを付加した自転車トレーニングの歩行能力への影響を調査した報告。
慢性脳卒中患者153名を歩行パターンに応じて3つに分類。
・速度は遅く、左右対称的に歩行するグループ(G1)
・速度は遅く、左右非対称に歩行するグループ(G2)
・速度は速いが、左右非対称(腱側の過剰努力)に歩行するグループ(G3)
視覚的フィードバックは、左右の回転トルクをフラフィック上に表示し、これを対称性に維持するよう自転車トレーニングを実施。
トレーニング期間を2週間とし、その前後で歩行パターン分析を行った。
その結果、G2で歩行スピードが上昇し、左右の対称性が改善された。さらに、G3においても歩行時の左右対称性が改善され、腱側の過剰努力が緩解した。
という話。
自転車トレーニングは、非麻痺側下肢で容易に麻痺側下肢の回転トルクを代償することができる運動様式である(参照)。そのため、無知な使用方法によっては、非麻痺側の過活動を高める誤ったトレーニングになる。今回の報告のように、麻痺側・非麻痺側それぞれの回転トルクを視覚的に提示することによって、非麻痺側の代償性活動の抑制が可能となり、対称的な律動運動が歩行能力の向上に寄与するのだろう。
自転車トレーニングは、ただ漕げば良いというものではない。
いくつか自転車トレーニングの文献を報告してきたが、如何にトレーニング様式を患者さんに最適化させ、歩行能力の向上に繋げられるのか。セラピストの知識とセンスが問われると思う。
脳卒中リハビリシリーズ
脳卒中リハビリ①:バランス感覚には、足底感覚へのアプローチ!
脳卒中リハビリ②:自転車トレーニングでは、速度一定でお願いします。
脳卒中リハビリ③:脳卒中早期からFES自転車運動で体幹機能を高めよう!
脳卒中リハビリ④:FES自転車運動は姿勢制御に効果的
脳卒中リハビリ⑤:自転車トレーニングは、ただ漕いでるだけじゃダメ。
脳卒中リハビリ⑥:自転車で突っ張る筋肉をほぐせるかも。
脳卒中リハビリ⑦:歩行スピードを高めたいなら、足関節背屈筋力を高めよう。
脳卒中リハビリ⑧:歩行距離をのばすには、やっぱり足関節背屈筋力?
脳卒中リハビリ⑨:上手に歩くためには、エンジンとブレーキ、どっちが大事?
脳卒中リハビリ⑩:歩行立脚期の機能改善には、この装具で。
脳卒中リハビリ⑪:遊脚期の足関節背屈を増強させる新しいトレーニング
脳卒中リハビリ⑫:視覚的フィードバックで知らないうちに歩行が変わる?
脳卒中リハビリ⑬:フィードバック療法で麻痺側の足を使えるようにしよう。
脳卒中リハビリ⑭:非麻痺側下肢も見逃すな。
脳卒中リハビリ⑮:ただ自転車を漕ぐだけではダメな根拠
脳卒中リハビリ⑯:片麻痺にもインソールは有効。
脳卒中リハビリ⑰:中殿筋への機能的電気刺激療法は、歩行の対称性を改善させます
脳卒中リハビリ⑱:効果的な立ち上がり練習の方法
脳卒中リハビリ⑲:立ち上がり動作と荷重感覚
脳卒中リハビリ⑳:筋力トレーニングだけでは効果なし
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