リハビリmemo

理学療法士・トレーナーによる筋トレやダイエットについての最新の研究報告を紹介するブログ

筋力トレーニングだけでは効果なし


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High-intensity resistance training improves muscle strength, self-reported function, and disability in long-term stroke survivors.

Stroke, 2004

脳卒中後の下肢筋力、動作能力に対する筋力トレーニングの有効性について検証した報告(実験的研究;ランダム化比較試験)。

対象は、慢性脳卒中患者42名。上肢のストレッチのみを行うコントロール群(n=21)、斬増抵抗トレーニング(Progressive resistance training: PRT)を行う介入群(n=21)の2群にランダムに分けた。

両群ともに12週間のトレーニングを行い、トレーニング前後で下記の①下肢筋力、②動作能力、③主観的機能・能力を評価した。

①下肢筋力

・レッグプレス

・ニーエスクテンション(膝伸ばし)

・足関節底背屈

②動作能力

・6分間歩行

・階段の昇段時間

・起立−着座の繰り返し時間

・歩行速度

③主観的機能・能力評価

 その結果、筋力トレーニング介入群は、コントロール群に比べ、下肢の筋力全てにおいて有意に増強した。また、主観的機能・能力評価も有意に増加した。

しかしながら、動作能力は全ての項目において有意差は認められなかった。

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とのこと。

とてもインパクトのある報告。下肢の筋力トレーニングは、単一的な筋力の増強効果を示し、自己高揚感を高めるが、実際の動作能力には寄与しない可能性を示唆しています。

筋力トレーニングが効果的ではない、ということではないと思います。増強させた筋力をどうのように動作へつなげていくか。ここがポイントであり、セラピストの腕の見せどころです。ヒントになる情報がありましたら、随時、ブログで紹介していきます。

 

脳卒中リハビリシリーズ

脳卒中リハビリ①:バランス感覚には、足底感覚へのアプローチ! 

脳卒中リハビリ②:自転車トレーニングでは、速度一定でお願いします。

脳卒中リハビリ③:脳卒中早期からFES自転車運動で体幹機能を高めよう!

脳卒中リハビリ④:FES自転車運動は姿勢制御に効果的

脳卒中リハビリ⑤:自転車トレーニングは、ただ漕いでるだけじゃダメ。

脳卒中リハビリ⑥:自転車で突っ張る筋肉をほぐせるかも。

脳卒中リハビリ⑦:歩行スピードを高めたいなら、足関節背屈筋力を高めよう。

脳卒中リハビリ⑧:歩行距離をのばすには、やっぱり足関節背屈筋力?

脳卒中リハビリ⑨:上手に歩くためには、エンジンとブレーキ、どっちが大事?

脳卒中リハビリ⑩:歩行立脚期の機能改善には、この装具で。

脳卒中リハビリ⑪:遊脚期の足関節背屈を増強させる新しいトレーニング

脳卒中リハビリ⑫:視覚的フィードバックで知らないうちに歩行が変わる?

脳卒中リハビリ⑬:フィードバック療法で麻痺側の足を使えるようにしよう。

脳卒中リハビリ⑭:非麻痺側下肢も見逃すな。

脳卒中リハビリ⑮:ただ自転車を漕ぐだけではダメな根拠

脳卒中リハビリ⑯:片麻痺にもインソールは有効。

脳卒中リハビリ⑰:中殿筋への機能的電気刺激療法は、歩行の対称性を改善させます

脳卒中リハビリ⑱:効果的な立ち上がり練習の方法

脳卒中リハビリ⑲:立ち上がり動作と荷重感覚

脳卒中リハビリ⑳:筋力トレーニングだけでは効果なし

 

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