2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧
変形性股関節症の発症には、遺伝的要因が関与していることが明らかにされている。 末期股関節症の遺伝度は27%(オッズ比1.86)と報告されている(Chitnavis J, 1997)。 これらの股関節症に特異的な原因遺伝子の同定には至っておらず、また、アジア人と欧米…
自分の下肢の痛みが股関節が原因なのか、脊椎が原因なのか、その両方なのか、悩むことが多いと思う。また、セラピストにおいても画像なしに判断するのはとても難しい。 今回、紹介する報告は、股関節疾患(主に変形性股関節症)の簡単な脊椎疾患との鑑別法に…
変形性股関節症(変股症)患者の歩容から変股症の重症度がわかるのだろうか? 変形性股関節症の患者によく見られる歩行パターンとして、矢状面上での立脚中期以降の股関節伸展不全が認められ、これは「motion discontinuity; MD」と言われている。(下図:Hu…
変形性股関節症の重症度を知る手段は、レントゲン写真以外にないのだろうか? 紹介する報告は、レントゲン写真による股関節症の重症度と股関節の可動域の関係について検証したものである。 reference) Predicting radiographic hip osteoarthritis from rang…
人工股関節術後(THA術後)における術前の体の使い方が歩行(過去ブログ)、階段昇降(過去ブログ)、立ち上がり動作などの荷重動作で残存することが数多く報告されている。 近年、日本で行われた調査では、THA術後、数年経過した後に非術側の膝関節症を併発…
もし、歩行練習に効果的な物理療法があるのなら? 経頭蓋直流電気刺激療法(tDCS)がこの10年の間に注目を浴びている。 tDCSは、1m〜2mAの微力な直流電気を大脳皮質の一次運動野に与えることにより、神経の興奮性をコントロールすることが可能である(Nitsch…
野球のピッチャーが投球フォームを変えることが難しいように、一度、最適化された歩き方というのは変えるのが難しい。 人工股関節術後1年が経過しても術前の歩き方(筋活動パターン)が残存しやすいという報告がある(Foucher KC, 2007)。 今回の報告は、運…
小脳や大脳皮質が歩き方の適応に関与することは、脳損傷モデルで明らかになっている(以前のブログ)。 特に、小脳は歩行適応の大きな役割を担っていることが動物研究でも示されている(Medina, 2008)。 今回の報告は、神経生理学的介入により、歩行適応に…
前回のブログに続き、保存療法の効果についてのご紹介(この論文は産業医科大学 内田先生からご提供頂いたものです)。 今回の報告は、前期股関節症(大腿骨寛骨臼インピンジメント)患者に対する2年間の保存療法の効果について検証した報告である。 referen…
「手術か保存療法か」 この選択に悩む患者さんは多いと思われる。 しかしながら、手術を勧める報告は多いが、保存療法の報告は本当に少ない。 これでは、保存療法の適応が不透明であり、保存療法による効果(即時的、継続的)は、患者さんもセラピストも予測…
"inter-limb coordination"という言葉がある。 ヒトの歩行は2本の足を協調することによって、様々な環境にも対応できる能力をもつ。 しかし、これは裏を返せば、右足を怪我すれば、左足も何かしら影響を受けるということである。 末期股関節症では、歩行時に…
歩行時に股関節に加わる力は、床反力と筋力の合力になるが、筋力がその8割を占めている(Bergmann G, 2004)。 その筋力に寄与する筋は、腸腰筋、中殿筋、大殿筋でり、特に、近年では腸腰筋の寄与が注目されている(Lewis CL, 2007)。 それでは、歩行時の股…