リハビリmemo

理学療法士・トレーナーによる筋トレやダイエットについての最新の研究報告を紹介するブログ

2017-01-01から1年間の記事一覧

筋トレ人気記事ランキング2017

2017年、ブログ「リハビリmemo」では現代のスポーツ医学や栄養学などの最新のトピックスを中心にご紹介してきました。おかげさまで多くの読者の方と筋トレの新しい知見を共有できたと思います。では、今年の記事をランキング形式にて振り返ってみましょう。 …

筋トレと遺伝の本当の真実〜筋トレの効果は遺伝で決まる?

「ヒトは遺伝と環境によってかたち作られている」 生まれてすぐに養子に出された一卵性双生児が数十年ぶりに出会ったとき、驚くほどの類似点があるといいます。異なる環境で育ったにもかかわらず、身長や性格をはじめ、学力(とくに数学)や趣味(とくに音楽…

筋トレが続かない理由〜ハーバード大学が明らかにした答えとは?

「筋トレが続かないんです…意志が弱いんです…」 筋トレは病気による死亡率を減少させ、睡眠の質を改善し、糖尿病や心臓病のリスクを軽減させるだけでなく、男性には男らしい肉体を、女性には美しいスタイルを与えてくれます。 『筋トレが病気による死亡率を…

筋トレの効果を最大にする「関節を動かす範囲」について知っておこう

トレーニングで関節を大きく動かすとキツくて、動かす範囲を少なくするとラクになるのは何故なのでしょうか? 例えばアームカールで、肘をしっかり伸ばしたところから、しっかり曲げるフルレンジのトレーニングよりも、中間の角度で小さく動かすパーシャルレ…

筋トレとアルコールの残酷な真実(続編)

「筋トレ後のアルコール摂取は筋肥大の効果を3割減少させる」 2014年、僕らにとって残酷な真実が明らかになりました。この真実をブログで紹介してから多くのコメントをいただき、「筋トレ後の至福のひとときが奪われる!」という悲鳴が渦巻いていたのを覚え…

プロテインは腎臓にダメージを与える?〜現代の科学が示すひとつの答え

「タンパク質の大量摂取は腎臓にダメージを与えるのか?」 1948年、ミネソタ大学のThomas Addisが「腎臓への過負荷は腎臓に長期的なダメージを与える」という報告をして以来、このテーマは約70年にわたって議論されています。 なぜ、ここまで議論が続いてい…

筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実

2017年11月7日、アメリカ・ABCニュースで興味深い記事が掲載されました。 「筋トレがすべての病気の死亡率を減少させる」 ✻How sit-ups and push-ups could ward off an early death - ABC news これは2017年10月に報告された8万人の大規模研究の結果を伝え…

ホエイプロテインは食欲を抑える〜最新のエビデンスを知っておこう

これほど多くのダイエット本が書店にならんでいるのは何故なのでしょうか?それは、ほとんどの人がダイエットができないからです。 では、何故、ダイエットできないのでしょうか? この問いに現代の科学はこう答えています。 「ヒトはダイエットするようにデ…

筋トレによって脳が変わる〜最新のメカニズムが明らかに

筋力と筋肉の大きさには高い関係性があり(Fukunaga T, 2001)、筋肉が大きいほど筋力は強いと予測することができます。これは身体の大きい人は強いと感じることからも本能的に理解していることだと思います。 筋力 = 筋肉の大きさ では、このグラフを見てみ…

筋トレの効果を高める最新の3つの考え方〜Schoenfeld氏のインタビューより

アメリカのフィットネスメディアであるBarBendは、今年の10月、ひとりのフィットネス研究者のインタビューを掲載しました。 ニューヨーク州立大学のBrad Schoenfeld(ブラッド・シェーンフェルド)氏は、トレーニングに関する100以上の論文を発表し、多くの…

HMBが筋トレの効果を高める理由~国際スポーツ栄養学会のガイドラインから最新のエビデンスまで

「HMBがブタのタンパク質の分解を抑えるならば、ヒトでも同じ効果を期待できるのでは?」 1996年、アイオワ州立大学のNissenらは、HMBによる動物実験の結果をもとに、世界で初めてヒトに対する臨床実験を行い、HMBが筋タンパク質の分解を抑え、トレーニング…

筋肉の大きさから筋トレをデザインしよう

1990年後半、筋肉のもととなる筋タンパク質の合成作用を測定する技術が確立されると、2000年以降からスポーツ医学、スポーツ栄養学による新たな研究成果が数多く報告されてるようになりました。 その中で、レジスタンストレーニング(筋トレ)による筋肥大の…

筋トレが睡眠の質を高める〜世界初のエビデンスが明らかに

2017年7月のTime誌にある精神科医の話が掲載されていました。 精神科医のオークランダー氏は、多忙な仕事と不規則な生活から肉体と精神の不調を感じていました。そこで、かねてから自分が患者に「運動の重要性」を説いていたように、自分もトレーナーをつけ…

筋トレの効果を最大にするタマゴの正しい食べ方

世界有数のリサーチ会社であるMarkets and Marketsは、2017年3月、プロテイン・サプリメントの市場が今後、年6%の成長をつづけ、2022年には6兆円規模の巨大市場になるという予想を発表しました。 日本を含む先進国では「健康」が大ブームであり、スポーツ人…

BCAAが筋トレ後の筋肉痛を回復させるエビデンス

今、スポーツ栄養学の界隈では、BCAAと筋肉痛がトピックスになっています。 2017年9月、BCAAと筋肉痛について、テヘラン医科大学のRahimiらはメタアナリシスを報告し、同じ月にマルセイユ大学のFouréらはシステマティックレビューを報告したのです。 ✻メタア…

筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間を知っておこう(2017年9月版)

あなたの最適なセット間の休憩時間はどのくらいでしょうか? この問のこたえとなるシステマティックレビューが2017年9月、雑誌Sports Medicineに掲載されました。 *システマティックレビュー:質の高い研究データのみを集めて分析する、エビデンスレベルが…

筋トレの効果を最大にするウォームアップの方法を知っておこう

現代のスポーツ医学、スポーツ栄養学は、レジスタンストレーニング(筋トレ)の効果を最大にするための多くの因子を明らかにしてきました。 それはタンパク質の摂取量や摂取パターン、トレーニングの負荷量やセット数、セット間の休憩時間まで、科学の発展と…

筋トレの前にストレッチングをしてはいけない理由

私たちは運動の前によくストレッチングをします。 これはストレッチングをすることによって怪我を予防できるというエビデンスにもとづいています(McHugh MP, 2010)。 怪我の予防をストレッチングの正のエビデンスとするのであれば、実はストレッチングには…

プロテインの摂取はトレーニング前と後のどちらが効果的?

「タンパク質をとるならトレーニング前が効果的だよ」 「いやいや、トレーニング後のほうが効果的だよ」 効果的なタンパク質の摂取はトレーニング前または後のどちらが良いのかというテーマは、スポーツ栄養学や運動生理学の分野で10年以上もの議論が続いて…

筋肉量を維持しながらダイエットする方法論

理想のダイエットとは何でしょうか? アメリカ・チャールストン大学のDudgeonらはこう答えています。 「筋肉量を維持しながら体重(脂肪)を減らす」 割れた腹直筋、肥大した大胸筋、盛り上がる上腕二頭筋、腸腰筋の浮き出たウエスト。多くのトレーニーがSNS…

腰痛の新しい考え方を知っておこう

1500年代、ポーランド出身の天文学者であるニコラウス・コペルニクスは、太陽が地球のまわりを回っているという経験論的な天動説を否定し、太陽を中心に地球などの惑星が周回していることを観測によって証明しました(地動説)。 天動説から地動説へという…

筋トレが不安を解消するエビデンス

ジムには多くの笑顔があります。 そこには悩みや不安を感じさせないトレーニーの姿があります。 これまで、筋トレが不安のようなネガティブな感情に与える効果的なエビデンスは示されていませんでした。今年8月、雑誌Sports medicineで世界で初めてレジスタ…

筋トレの最適な負荷量を知っておこう(2017年8月版)

「効果的な筋トレの負荷量は、最大負荷の70%以上の高負荷が望ましい」 2009年、アメリカスポーツ医学会は公式声明でこのように唱えました(American College of Sports Medicine. 2009)。 しかし、この頃から、運動生理学やスポーツ栄養学の分野では、大き…

ストレッチングが動脈硬化を改善させる

私たちの「血管」はとても柔らかくできており、伸び縮みします。しかし、加齢とともにその柔軟性は損なわれ、メタボリックシンドロームが加わることで、その劣化は加速します。 その結果が、動脈硬化です。 動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞、高血圧などの血管…

長生きの秘訣は筋トレにある

加齢とともに、私たちの筋肉は減少し、脂肪は増加していきます。 40歳から80歳までに筋肉は男性で10.8%、女性で6.4%減少し、それに対して内臓脂肪は男性で42.9%、女性で65.3%も増えることが報告されています(Yamada M, 2014)。 Fig.1:Yamada M, 2014より…

筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう(2017年7月版)

2017年7月の雑誌BJSM(British Journal of Sports Medicine)に「トレーニング後のタンパク質の摂取量」についての最新のレビューとメタ解析の結果が報告されたのでキャッチアップしておきましょう。 今回のレビューで示されたメッセージは「トレーニング後2…

慢性の腰痛では大殿筋が筋萎縮する(論文紹介)

平成28年の国民生活基礎調査における有訴者率(病気やケガなどで自覚症状のある人の割合)で男性1位、女性2位となった現代の健康問題は何でしょうか? それは「腰痛」です。 図:平成28年の国民生活基礎調査より筆者作成 腰痛を発症させる動作のひとつに持ち…

筋トレとアルコール摂取の残酷な真実

2014年2月、私たちにとって、あまりにも残酷な事実が公表されました。 「トレーニング後のアルコール摂取は筋肥大の効果を減少させる」 トレーニング後のアルコール摂取は格別な幸福を与えてくれます。厳しく、辛い自分との戦いを終えたあとに、最大の安らぎ…

肩関節の外旋筋力の評価によって腱板断裂の所見が予測できる(論文紹介)

徒手筋力評価によって、腱板断裂の所見(断裂サイズや腱の脂肪浸潤)を予測することは出来るのでしょうか? 今回は、カナダ・サニーブルックス健康科学センターのRazmjouらの肩の外旋筋力と腱板断裂の所見との関係性を調査した報告をご紹介します。 腱板断…

脳卒中後のStiff-knee gaitには中間広筋が関与している(論文紹介)

脳卒中後のStiff-knee gait(SKG)は「歩行の遊脚期にみられる麻痺側下肢の膝屈曲の減少または遅延」と定義されています(Perry J, 1992)。SKGでは歩行の遊脚期にみられる膝関節の屈曲が減少するため、足部のクリアランスの低下を招き、転倒リスクを増加さ…