リハビリmemo

理学療法士・トレーナーによる筋トレやダイエットについての最新の研究報告を紹介するブログ

2015-01-01から1年間の記事一覧

変形性膝関節症に良い靴選び

近年の生体力学研究の発展により、変形性膝関節症の治療戦略に新たなパラダイム・シフトが起きています。そして、現在では、変形性膝関節症を予防するための靴選びにおいても明確な答えを示すことができるのです。 今回は、多くの女性が履いているハイヒール…

加齢により歩行の適応能力は変化する?②

私たちは年老いると、昨日、食べたものを思い出すことが難しくなるが、自転車を運転したり、車を運転する方法は忘れない。高齢者心理学の進展により、エピソード記憶は加齢の影響を受けるが、習得された運動技能などの手続き記憶は加齢の影響が少ないことが…

加齢により歩行の適応能力は変化する?①

歩行は身体と環境の相互作用により最適な歩行様式に適応される。 『歩行適応 カテゴリーの記事一覧 - リハビリmemo』 これは運動学習の運動適応にもとづくものであり、split belt treadmillの研究によって近年、新たな知見が多く報告されている。 しかし、こ…

変形性膝関節症の予防④ 膝の屈曲拘縮を予防しよう!

変形性膝関節症(膝OA)の発症とその進行には、遺伝的因子、性別的因子(女性に多い)、体重因子、環境因子など種々の因子が関与すると言われているが、現在ではメカニカルストレスが最も重要な因子として注目されている(Felson DT, 2013)。 日本人に多い…

認知症予防で今年最もインパクトがあったフィンガー研究の紹介

先日のNHKスペシャル「シリーズ認知症革命」で紹介されていたフィンガー研究(FINGER study)の内容を詳しく見てみよう。 by WHO Ministerial Conference FINGER研究は、2015年6月にLancetに掲載された認知症予防の介入研究であり、今年、最もインパクトがあ…

変形性膝関節症の予防③ 股関節外転筋トレーニングをしよう

膝内転モーメントは変形性膝関節症(膝OA)の重要なアウトカムである。股関節外転筋トレーニングが膝内転モーメントの減少に有効であるとされているが、近年のRCT、クリニカルトライアルによって、その効果は否定されている。しかし、股関節外転筋トレーニン…

変形性膝関節症の予防② 膝OAで股関節外転筋力が低下する理由

変形性膝関節症(膝OA)に対する股関節外転筋トレーニングの有効性についての論争は過去10年以上続いており、巷ではこれを「股関節外転筋論争」と呼んでいる。 前回のエントリでは、股関節外転筋論争の全容を紹介した。その中で、膝OAでは股関節外転筋力が低…

変形性膝関節症の予防① 股関節外転筋トレーニングの有効性について

前回、変形性膝関節症(膝OA)の予防において「歩行時の膝内転モーメントのピークとインパルスを如何に減少させるかが基本戦略になる」ということを考察した。 『変形性膝関節症の予防する基本戦略』 近年、膝OAのリハビリテーションでは、歩行時の膝内転モ…

転倒とバランス② バランス能力の評価を再考しよう

Dr Horakは、バランス能力の評価の目的について「バランス評価の目的は、バランス能力の程度を評価するとともに、バランス能力が低下している原因を特定することである」と述べている(Horak FB, 1997)。 バランス能力の程度を計る評価方法は数多くあり、そ…

転倒とバランス① 有効なバランス能力の評価とは?

バランスの研究で著明なDr Horakは、バランス障害の評価の目的を次のように述べている。 「バランス障害の評価には2つの目的がある。ひとつはバランス能力の程度を評価すること。そして、もうひとつはバランス能力が低下している原因を特定することである」…

変形性膝関節症のリハビリの新しい考え方

変形性膝関節症は、転倒と同様に健康寿命を損なう重要な要因のひとつであり、健康に楽しく長生きするためには予防すべき疾患である。 『健康寿命から考える転倒予防』 変形性膝関節症のリハビリをリスクマネージメントの考え方から定義すると、「変形性膝関…

効率的に転倒リスクをスクリーニングしよう!CDC編

転倒のリスク因子を如何に効率的にスクリーニングするか? リスク管理においてそのリスクを迅速に明確化させることは、その後のリスク防止効果を高めます。前回は、米国老年医学会(AGS)が推奨している転倒スクリーニングのアルゴリズムを紹介しました。 『…

転倒予防のリスクマネージメント② 効率的に転倒リスクをスクリーニングしよう!

前回は、JAMAに掲載されたTinnetiらの報告をもとに転倒のリスク因子とその影響度について考察しました。その結果、転倒歴を筆頭にバランス能力、筋力低下、視力低下、薬剤の使用などの因子が転倒への高い影響度をもつことがわかりました。 『転倒のリスク因…

転倒予防のリスクマネージメント① 転倒のリスク因子を知ろう!

リスクマネージメントの基本は、危険なことが起こらないように、その潜在的なリスクが顕在化する要因を洗い出し、影響度の大きさにしたがって優先順位をつけ、リスク防止策を実行することです。 雨の降る確率が70%であれば、家をでるときに傘を持っていきま…

健康寿命から考える転倒予防

私達が二足歩行を獲得して約400万年。地形や生活の場といった外的環境および身体という内的環境の変化に適応して現在の二足歩行がデザインされてきました。しかし、この50年というわずかな期間で私達をとりまく内的環境は急激に変化しています。それは生命寿…

ストレッチのウソ?ホント? ~まとめ~

ストレッチの科学シリーズも11回を終え、今回で一旦終了することにしました。残念ながら、人の身体は加齢に伴い柔軟性を失っていきます。ストレッチを効果的に行い、加齢に負けない体づくりをしていきたいですよね。そこで、ストレッチに関する正しい情報を…

残念ながら、ストレッチにダイエットの効果はありません

「ストレッチはダイエットに有効である!」というのは本当でしょうか? 僕が調べた範囲では、静的ストレッチとダイエットの関係について研究した報告は見当たりませんでした。なので、いくつかの知見をもとに、ストレッチがダイエットに寄与する可能性につい…

ストレッチのメカニズム その2

前回は、ストレッチのメカニズムを筋の粘弾性の側面から考察しました。粘弾性の特性を考慮すると、効果的にストレッチするにはじっくり伸ばさなくてはいけないこと、粘弾性の低下がストレッチによるパフォーマンスの低下の要因になりうること、ストレッチの…

ストレッチのメカニズム その1

だいぶ夜も冷えて、秋の到来を予感させますね。季節の変わり目なので体調を崩さないように気をつけていきましょう。 さて、ストレッチのメカニズムについて考察してみます。ストレッチのメカニズムを知ることで、以下の疑問について理解できると思います。 …

ストレッチの効果はどのくらい持続するのか?〜習慣的な効果〜

前回は、ストレッチの即時的な効果の持続性について考察してみました。その結果、ストレッチする筋によって効果の持続性がことなること、代表的なハムストリングスでは5分ほどのストレッチで2時間程度、効果が持続することがわかりました。 『ストレッチの…

ロンベルグ試験から立位姿勢制御のしくみを理解しよう

立位姿勢は、視覚、前庭感覚、固有感覚の3つの感覚により制御されている。 ・視覚は、直立姿勢をジャッジするための動きと手がかりを与えてくれる。 ・前庭感覚は、頭部の動きと重力に関する頭位についての情報を与えてくれる。 ・固有感覚は、荷重情報、身…

ストレッチの効果はどのくらい持続するのか?~即時的な効果~

ストレッチングの効果はどのくらい持続するのでしょうか?また、筋肉によって持続時間は異なるのでしょうか? ストレッチングの効果は、即時的な効果と習慣的な効果に分けられます。即時的な効果とは、ストレッチング後すぐの効果のことを言い、習慣的な効果…

小脳の障害像と損傷部位の関係を理解しよう

今回は小脳疾患の障害像と損傷部位の関係について勉強しましょう。 それでは、高い棚にある本を取ろうとする場面を思い浮かべてみて下さい。 ここで本をとる際の身体の運動を順を追って見てみましょう。 ①リーチ動作に先行して下肢や背筋の筋が収縮する(予…

ストレッチは高齢者の歩行能力を高める

加齢にともなう身体の衰えからは逃れられませんが、予防、改善することは可能です。今回は、ストレッチが加齢によって低下した歩く能力を改善させる効果について考察してみましょう。 Table of contents ◆ 加齢とともに歩く速度は低下する ◆ ストレッチによ…

ストレッチはいつするのが効果的?

ストレッチはいつ行うのが効果的ですか? 朝起きたとき?それとも入浴後ですか? このような質問を受けることが多いです。結論を言ってしまえば「入浴後のストレッチ」が一番、効果的です。 このことについては、多くのネットメディアや個人ブログで言われて…

ストレッチは毎日続けなくてもいいんです

「継続は力なり」 確かにその通りですが、人はそこまで強くありません。やらないといけない…と思いながらも…明日でいいや!と思うものです。もし、「週に数回のストレッチでも毎日のストレッチと同じ効果がある」ということを知ったら、少しはやってみようか…

効率的で効果的なストレッチの時間と回数

ストレッチはどのくらいの時間、回数を行えば効果的なのでしょうか? ストレッチは美容や健康にとても効果的です。しかし、忙しい生活の中、ストレッチにかける時間もそんなに多くはとれないですよね。とは言うものの、ストレッチ時間が少なすぎて効果がな…

ストレッチでパフォーマンスを低下させない方法

今回のエントリは、『ストレッチはパフォーマンスを低下させる(前編)』の後編になります。 ストレッチとパフォーマンスの関係については、2010年までに報告された3つのシステマティックレビュー、欧州スポーツ医学会、米国スポーツ医学会からのステートメ…

ストレッチはパフォーマンスを低下させる(前編)

「運動前のストレッチはパフォーマンスを低下させるのか?」というテーマは、かれこれ15年前から議論されており、関連する論文の数は、優に100を超えています。 しかしながら、日本のスポーツ現場では、特段の疑問もなく運動前のストレッチが恒常的に行われ…

歩行適応における踵接地の役割

ドローンはラジコンヘリに比べて何がすごいかというとセンサー技術なんです。スマホが広まるにつれて、センサー技術も高まり、なおかつ安価になったことがドローンの開発に寄与したそうです。 なので、空中で安定して姿勢を保持できるので、空撮に最適なんで…