2015-01-01から1年間の記事一覧
昨日まで科研費の報告書に追われてパソコンの前に張り付いていました。長い時間、パソコンに向かった後に身体を伸ばすと気持ちが良いですよね。そう考えると、長時間の座位が腰に与える負担は相当に大きいのだろうなと思うのです。 そこで今回は、座る姿勢が…
幼児のヨチヨチ歩きはかわいいですよね。子供はこのようなヨチヨチ歩きを経て、3歳までに大人と同じような標準的な歩行を獲得します。しかし、成長の過程で、子供は「正しく歩こう」とか「美しく歩こう」などとは考えているわけではありませんし、誰かから歩…
われわれの歩行は、どのような進化の過程で構築され、適応してきたのだろうか? 今回は、歩行の起源と題し、以下について最近の知見をもとに考察してみた。 ・ヒトはいつ、二足歩行を獲得したのか? ・ヒトはなぜ、二足歩行になったのか? ・二足歩行を洗練…
歩行を早く適応させるポイントは主に2つある。 ・何も考えずに歩く ・学んだことは忘れる 今回は、「学んだことは忘れる」について考察していこう。 その前に、運動学習におけるスキル学習(skill learning)と運動適応(motor adaptation)の違いについて…
勉強において大事なことは、目標を具体的に定め、その目標を達成するための学習内容を明確にすること。そして、目標を達成するために学習を継続することである。 しかし、しばらくすると飽きる。そして考える。 「もっと良い方法はないのだろうか?」 「もっ…
ニューロリハビリテーション(NeuroRehabilitation)という言葉が近年、リハビリテーション医療で広く用いられている。明確な定義はないが、ニューロリハビリテーションとは、Neuroscience based rehabilitation(神経科学にもとづくリハビリテーション)と…
ヒトは足に痛みがあると痛みを回避するように歩き方を変える。このような歩行の適応は即時的に行われ、その歩き方を続けていることで長期的に適応させる。 変形性股関節症では、疼痛を回避するために立脚後期の股関節伸展を減少させた歩容になりやすい。これ…
新緑も深まり、春の到来を感じます。ほのぼのした陽気のもとで、バンザイをして背筋を伸ばしながら「うーーん!」と伸びをしたい気分ですね。 今回は、ねこ背と肩の関係について考察してみます。ねこ背になると肩が痛くなったり、肩を上げることができなくな…
理学療法士は患者に合わせた歩行をデザインすることが業である。そうであれば、歩行の「しくみ」を知ることがデザインの質を高めることにつながる。 ヒトが2足歩行を獲得してから約400万年が経つ。石器時代では、獲物を捕るため動物の動きに集中したり、敵の…
スポーツテストで行った上体反らしや体前屈を覚えていますか? これらのテストには、脊椎の柔軟性が大きく関与しています。脊椎と言っても、体を曲げたり、伸ばしたりする機能をもっているのは腰椎です。下の写真をみても、体を曲げるときは腰椎がまっすぐに…
美しいスタイルの黄金比は、1:1.618と言われています。これは、腰から上:腰から下の比率であり、やはり、脚が長いことは美しいスタイルに必要不可欠な要素のようです。 そこでハイヒールですよね。ハイヒールは17世紀より用いられて、現代では約6割の女性が…
花粉症も真っ盛りの季節、辛い日々が続いていますが、実は、スギの二酸化炭素吸収力はヒノキやカラマツと比べて相当優れているんですよ。そういう意味でスギは大気の空気清浄機なんですよね……物事には二面性があるので、見方を変えてポジティブにこの季節を…
ねこ背は高齢女性の約40%に認められていますが、実のところ、ねこ背になってしまう理由は明らかになっていないんです(Kado DM, 2007)。 よく骨粗鬆症や脊椎骨折、椎間板の障害が原因と言われていますが、これはねこ背の原因の約40%のことであり、残りの60%…
足が痛いと思っていたら、腰も痛くなったという経験がありませんか? あるいは、腰が痛いと思っていたら肩や膝が痛くなることはありませんか? 人の身体は首から足の先まで多くの関節があるんですけど、それらがリンクして一連の動作を生み出しているんです…
さて、今回は自分でねこ背を測る方法をご紹介しましょう。 まず、姿見の前に横向きで立ちます。この時はなるべくおしりのラインが出るような格好が良いです。 次に、顔を下に向けます。首の後ろを触るとボコッとした骨の突起が触れますか?ここが棘突起とい…
しつこいようですが、 ねこ背になると転びやすくなります。 『ねこ背になると転倒しやすくなる 〜大規模研究による検証〜』 その原因は胸椎の後弯ではなく、腰椎が後弯してしまうことにあります。 『ねこ背になると転倒しやすくなる 〜本当の犯人は?〜』 腰…
ねこ背になると転倒しやすくなります。 『ねこ背になると転倒しやすくなる 〜大規模研究による検証〜』 ねこ背による転倒は、背中の曲がり(胸椎の後弯)が強くなることではなく、腰が伸びてしまうこと(腰椎の後弯)が原因であることがわかってきました。 …
前回、ねこ背になると転倒しやすくなるという大規模研究の結果をご紹介しました。 この報告を機に、ねこ背と転倒の研究はその要因分析へとレイヤーが移り変わります。今回は少しアカデミックなお話になりますがお付き合い下さい。 ねこ背はその進行によって…
さて、ねこ背になると歩くスピードが遅くなったり、歩幅が狭い歩容になったりして、いわゆるお年寄りの歩き方になることがわかっています(ねこ背になると歩き方も変わる?)。 また、ねこ背になると歩いているときの方向転換や階段の昇り降りの能力も低下す…
今年も1ヶ月が過ぎ、もう2月ですね。 正月に帰省された方も多くいらっしゃると思いますが、その際にご両親、特に母親がひと回り小さくなったな、と思われたことはなかったですか? 一般的に年齢をかさねると身長が低下することが知られています。 今日は、ね…
さて、前回はねこ背による歩き方への影響についてHirose氏の論文を紹介させていただきました。 ねこ背は歩幅を減少させ、歩くスピードを遅くすることに関与していることが示唆されました。また、ねこ背にならなければ、年を重ねても綺麗な姿勢で歩けるという…
加齢とともに生じる姿勢の変化。 いわゆる「ねこ背」は65歳以上の女性の2〜4割に生じることが報告されています(Kado DM, 2004、Takahashi T, 2005)。 今日、ご紹介する研究は、この「ねこ背」が歩き方にどのような影響を与えるか?について調査した報告です…