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Clinical Biomechanics, 2006
脳卒中片麻痺では、約2〜5割の方に立ち上がり時の左右非対称性を認める。この非対称性の改善は、非麻痺側下肢の負担を減らすとともに、麻痺側下肢の使用を促す大切な課題である。今回の報告は、この立ち上がり時の非対称性を改善する簡易的な方法について実験されたものである(実験的研究:前後比較試験)。
対象は、慢性脳卒中患者12名。
足の接地するポジションを4つのパターンに分類し、起立・着座時の左右対称性を床反力計を用いて測定した。
足の4つのポジションは、①任意(いつも通りの位置)、②対称性、③非対称(麻痺側後方位)、④非対称(非麻痺側後方位)。
さらに、椅子の高さ(下腿長100%と120%)による対称性の影響についても同様に測定した。
その結果、麻痺側の足部を後方に位置させた場合に、起立のみならず、着座においても非対称性が最も改善された。また、非麻痺側の足部を後方に位置させた場合が、最も非対称性が増加した。椅子の高さには有意差は見られなかった。
とのこと。
麻痺側の足部を後方に位置させて立ち上がれば麻痺側に荷重を促すことができる。一見、当たり前のように思うが、対称性にこだわりやすいセラピストにとっては、コロンブスのタマゴのような気づきを与えてくれるのではないか。ぜひとも臨床で試して頂きたい。
また、ご自身で立ち上がり練習をされている方は、麻痺されている足を少し下げて行うと効率的なトレーニングになります。また、立ち上がりに比べ、着座時のほうが麻痺側下肢に荷重がのりやすくなるので、着座をより意識的に取り組んで頂ければと思います。
脳卒中リハビリシリーズ
脳卒中リハビリ①:バランス感覚には、足底感覚へのアプローチ!
脳卒中リハビリ②:自転車トレーニングでは、速度一定でお願いします。
脳卒中リハビリ③:脳卒中早期からFES自転車運動で体幹機能を高めよう!
脳卒中リハビリ④:FES自転車運動は姿勢制御に効果的
脳卒中リハビリ⑤:自転車トレーニングは、ただ漕いでるだけじゃダメ。
脳卒中リハビリ⑥:自転車で突っ張る筋肉をほぐせるかも。
脳卒中リハビリ⑦:歩行スピードを高めたいなら、足関節背屈筋力を高めよう。
脳卒中リハビリ⑧:歩行距離をのばすには、やっぱり足関節背屈筋力?
脳卒中リハビリ⑨:上手に歩くためには、エンジンとブレーキ、どっちが大事?
脳卒中リハビリ⑩:歩行立脚期の機能改善には、この装具で。
脳卒中リハビリ⑪:遊脚期の足関節背屈を増強させる新しいトレーニング
脳卒中リハビリ⑫:視覚的フィードバックで知らないうちに歩行が変わる?
脳卒中リハビリ⑬:フィードバック療法で麻痺側の足を使えるようにしよう。
脳卒中リハビリ⑭:非麻痺側下肢も見逃すな。
脳卒中リハビリ⑮:ただ自転車を漕ぐだけではダメな根拠
脳卒中リハビリ⑯:片麻痺にもインソールは有効。
脳卒中リハビリ⑰:中殿筋への機能的電気刺激療法は、歩行の対称性を改善させます
脳卒中リハビリ⑱:効果的な立ち上がり練習の方法
脳卒中リハビリ⑲:立ち上がり動作と荷重感覚
脳卒中リハビリ⑳:筋力トレーニングだけでは効果なし
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