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Gait & Posture, 2011
歩行時遊脚期の足関節背屈を誘発する新しい方法についての報告。
対象は、健常者12名。
歩行の遊脚期(initial swing〜mid swing)に底屈トルクが生じる短下肢装具(Electrohydraulic ankle-foot orthosis: EHO)を装着し、5分間、底屈トルクに抗するようにして歩行トレーニングを行った。
歩行トレーニングの前・中・後において下記の歩行パラメーターを測定した。
①歩行時の足関節、膝関節の可動域
②前脛骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋、外側広筋、半腱様筋の筋活動(EMG)
その結果、トレーニング前に比べ、トレーニング中では、遊脚期の足関節背屈角度が最大7度増加し、前脛骨筋の筋活動が78%増加した。さらに、この効果は、トレーニング後、EHOを外した後も持続された。
とのこと。
とても斬新なアイデアだと思う。単一的な背屈筋力のトレーニングだけでなく、このような課題特異的なアプローチは、運動学習において重要。臨床研究の報告が待ち遠しい。
この報告を読んでると、空港や駅にある動く歩道を歩いた後に、通常の歩道を歩くときの違和感を思い出す。ヒトはそれほど短期間で、環境に合わせて筋活動パターンを最適化させる能力をもっている。
脳卒中リハビリシリーズ
脳卒中リハビリ①:バランス感覚には、足底感覚へのアプローチ!
脳卒中リハビリ②:自転車トレーニングでは、速度一定でお願いします。
脳卒中リハビリ③:脳卒中早期からFES自転車運動で体幹機能を高めよう!
脳卒中リハビリ④:FES自転車運動は姿勢制御に効果的
脳卒中リハビリ⑤:自転車トレーニングは、ただ漕いでるだけじゃダメ。
脳卒中リハビリ⑥:自転車で突っ張る筋肉をほぐせるかも。
脳卒中リハビリ⑦:歩行スピードを高めたいなら、足関節背屈筋力を高めよう。
脳卒中リハビリ⑧:歩行距離をのばすには、やっぱり足関節背屈筋力?
脳卒中リハビリ⑨:上手に歩くためには、エンジンとブレーキ、どっちが大事?
脳卒中リハビリ⑩:歩行立脚期の機能改善には、この装具で。
脳卒中リハビリ⑪:遊脚期の足関節背屈を増強させる新しいトレーニング
脳卒中リハビリ⑫:視覚的フィードバックで知らないうちに歩行が変わる?
脳卒中リハビリ⑬:フィードバック療法で麻痺側の足を使えるようにしよう。
脳卒中リハビリ⑭:非麻痺側下肢も見逃すな。
脳卒中リハビリ⑮:ただ自転車を漕ぐだけではダメな根拠
脳卒中リハビリ⑯:片麻痺にもインソールは有効。
脳卒中リハビリ⑰:中殿筋への機能的電気刺激療法は、歩行の対称性を改善させます
脳卒中リハビリ⑱:効果的な立ち上がり練習の方法
脳卒中リハビリ⑲:立ち上がり動作と荷重感覚
脳卒中リハビリ⑳:筋力トレーニングだけでは効果なし
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