リハビリmemo

理学療法士・トレーナーによる筋トレやダイエットについての最新の研究報告を紹介するブログ

肩関節痛に対する適切な運動を導くためのアルゴリズム

「肩関節インピンジメント症候群」と聞いてどのような評価と治療を思い浮かべるでしょうか? 理学療法や作業療法は、医師の診断にもとづく診断名に応じて評価・治療を行います。しかし、このような現状に対して2013年、Ludewigらは診断名にもとづいたリハビ…

変形性膝関節症の予防⑥ 注意すべき日常生活動作とその理由

変形性膝関節症を悪化させる主な要因は、膝関節に生じる負荷(メカニカルストレス)であると言われています。 『変形性膝関節症を予防する基本戦略』 歩行や日常生活動作でメカニカルストレスが繰り返し生じることによって、膝関節の痛みや悪化を招きます。…

変形性膝関節症の予防⑤ 生体力学が教える注意すべき日常生活動作

現代の生体力学は、変形性膝関節症の予防や保存療法についてのポイントをひとことで説明しています。 「膝内転モーメントを減少させよう」 そして近年では、歩行時の膝内転モーメントを減少させるという基本戦略にもとづき、様々なリハビリテーションアプロ…

ステップ動作の予測的姿勢制御を理解しよう!

生体力学が言う安定した立位とは、身体重心(Center of mass:COM)が足圧中心(Center of pressure:COP)の真上に保たれている状態のことです。手のひらで棒を立ててバランスをとる場面を想像するとわかりやすですね。 立位で上肢を挙上させるとCOMを前方…

ヒトの大脳皮質と予測的姿勢制御 ①

1985年、アメリカの生理学者であるLibetらは、脳科学の視点から「自由意志」の存在を疑う研究論文”Unconscious cerebral initiative and the role of conscious will in voluntary action”を発表しました(Libet B. 1985)。この論文の内容は「リベットの実…

ヒトの大脳皮質と姿勢制御 ②

ヒトの立位姿勢は、脊髄、脳幹、小脳、基底核そして大脳皮質を含む階層的な神経システムによって制御されています。近年では、ニューロイメージング研究の発展にともない、大脳皮質でも特に補足運動野が立位バランスに関与していることが明らかになりつつあ…

ヒトの大脳皮質と姿勢制御 ①

効果的に姿勢や歩行障害を改善させるためには、そのしくみを理解しリハビリテーションをデザインすることが大切です。運動学や脳科学といった学問により明らかにされた「しくみ」は科学的に検証された知見であり、しくみにもとづくリハビリテーションは、科…

変形性股関節症の保存療法の基本戦略③

変形性股関節症の保存療法の効果的な介入とは、股関節症を悪化させる影響度の高いリスクファクターを明らかにし、優先的に対応策を講じることです。 股関節に生じるメカニカルストレスの局所的な増加は、滑膜炎による軟骨変性や骨のリモデリングを発生させ…

変形性股関節症の保存療法の基本戦略②

変形性関節症の予防を生体力学の側面から研究しているボストン大学のFelsonは、変形性股関節症の悪化は、股関節に生じるメカニカルストレスのコントロールに失敗した結果であると言います(Felson DT, 2013)。 変形性股関節症を悪化させるリスク因子は、年…

変形性股関節症の保存療法の基本戦略①

変形性股関節症の保存療法をリスクマネージメントの観点から考えてみると、変形性股関節症を悪化させるリスク因子を明確化し、影響度の高い因子から防止策を講じることが効率的で効果的な保存療法につながります。 では、変形性股関節症を悪化させる影響度の…

体幹筋の廃用性筋萎縮を予防しよう

前回のエントリでは、廃用特異的に筋委縮する筋について池添氏らの研究報告を紹介しました。廃用により筋委縮しやすい筋は、脊柱起立筋や体幹深層筋(腹横筋・多裂筋)、大腿四頭筋や腓腹筋・ヒラメ筋といった抗重力筋に多いことが明らかになっています。逆…

廃用によって筋萎縮しやすい筋とは?

来年度の診療報酬改定の全貌がようやく見えてきましたね。リハビリテーション関係で大きく評価されているのは、ADL維持向上等体制加算のみです。ADL維持向上加算の増点は、病棟にリハビリスタッフを専従配置し、廃用予防を行うことがADLの早期回復に寄与する…

ヒトの皮質網様体路と歩行制御

旭川医科大学の高草木教授は、皮質網様体路と脳卒中後の片麻痺歩行との関係ついても興味深い仮説を述べています。 一般的に脳卒中後の運動機能は上肢に比べ、歩行のほうが改善しやすいとされています。高草木氏は、大脳皮質や内包を通る皮質脊髄路が損傷して…

ヒトの皮質網様体路と姿勢制御 ②

旭川医科大学の高草木教授は、動物実験や病態モデルの研究報告をもとに「皮質網様体路は姿勢制御に関与する」という仮説を提唱しています。 前回のエントリでは、拡散テンソルトラクトグラフィー(Diffusion tensor tractography:DTT)を用いて、初めてヒト…

ヒトの皮質網様体路と姿勢制御 ①

「運動前野、補足運動野から脳幹網様体に至る皮質網様体路は、姿勢制御に関与する」 大脳基底核と運動制御の研究で著名な旭川医科大学の高草木教授は、動物研究、病態モデルからこのような仮説を提唱しています。そしてこの仮説は以下の根拠にもとづいていま…