リハビリmemo

理学療法士・トレーナーによる筋トレやダイエットについての最新の研究報告を紹介するブログ

ただ自転車を漕ぐだけではダメな根拠


スポンサーリンク

 

reference)

Interlimb influences on paretic leg function in poststroke hemiparesis.

Journal of neurophysiology, 2005

 自転車トレーニングが麻痺側下肢の筋活動パターンに与える影響について調査した報告(実験的研究;前後比較試験)。

 
対象は、脳卒中患者21名、健常者11名(コントロール群)。
 
被験者は、それぞれ下記の動作課題を行い、課題中の筋活動パターン(大腿直筋、内側小広筋、大腿二頭筋長頭、半膜様筋)を筋電図にてサンプリングし、コントロール群と比較した。
①固定したクランク上での等尺性運動
②左右別々に動くクランクでの自転車運動
③通常の自転車運動
 
その結果、①固定したクランク、②左右別々に動くクランクの課題では、コントロール群と有意な差は見られなかった。しかしながら、③通常の自転車運動では、麻痺側下肢の筋活動パターンの増悪が認められた。
 
脳卒中後の自転車運動においてもinterlimb coordinationは生じるが、麻痺側下肢の筋活動パターンを悪化させるリスクが示唆され、対応の必要性がある。
とのこと。

f:id:takumasa39:20120505154351p:plain

このような報告をもとに、その後、有効な自転車トレーニングを行うためのクランク位置(前回ブログ)やスピード付加、筋電図などを用いたvisual feedbackの検討が試されている。
 
この報告は、7年前(2005年)に行われているが、果たしてセラピストは認識しているだろうか?ただ自転車を漕ぐだけではダメな理由がここにある。
 
 

脳卒中リハビリシリーズ

脳卒中リハビリ①:バランス感覚には、足底感覚へのアプローチ! 

脳卒中リハビリ②:自転車トレーニングでは、速度一定でお願いします。

脳卒中リハビリ③:脳卒中早期からFES自転車運動で体幹機能を高めよう!

脳卒中リハビリ④:FES自転車運動は姿勢制御に効果的

脳卒中リハビリ⑤:自転車トレーニングは、ただ漕いでるだけじゃダメ。

脳卒中リハビリ⑥:自転車で突っ張る筋肉をほぐせるかも。

脳卒中リハビリ⑦:歩行スピードを高めたいなら、足関節背屈筋力を高めよう。

脳卒中リハビリ⑧:歩行距離をのばすには、やっぱり足関節背屈筋力?

脳卒中リハビリ⑨:上手に歩くためには、エンジンとブレーキ、どっちが大事?

脳卒中リハビリ⑩:歩行立脚期の機能改善には、この装具で。

脳卒中リハビリ⑪:遊脚期の足関節背屈を増強させる新しいトレーニング

脳卒中リハビリ⑫:視覚的フィードバックで知らないうちに歩行が変わる?

脳卒中リハビリ⑬:フィードバック療法で麻痺側の足を使えるようにしよう。

脳卒中リハビリ⑭:非麻痺側下肢も見逃すな。

脳卒中リハビリ⑮:ただ自転車を漕ぐだけではダメな根拠

脳卒中リハビリ⑯:片麻痺にもインソールは有効。

脳卒中リハビリ⑰:中殿筋への機能的電気刺激療法は、歩行の対称性を改善させます

脳卒中リハビリ⑱:効果的な立ち上がり練習の方法

脳卒中リハビリ⑲:立ち上がり動作と荷重感覚

脳卒中リハビリ⑳:筋力トレーニングだけでは効果なし

 

「説明がわからない」「これが知りたい」などのご意見はTwitterまでご気軽にご連絡ください。