リハビリmemo

大学病院勤務・大学院リハビリテーション学所属の理学療法士・トレーナーによる「研究と臨床をつなげるための記録」

歩行のしくみとリハビリテーション

脳卒中後の歩行能力を予測する有効な評価方法とは?

脳卒中後の歩行能力に対して、どのような評価方法を用いるのがもっとも有効なのでしょうか? この疑問の答えとして、とても興味深い報告が雑誌Stokeの2017年1月号に掲載されていたので、ご紹介しながら考えてみたいと思います。 脳卒中後の歩行能力の低下は…

荷重感覚が歩行時の足部の運動を促通する

今日(10月30日)、宇宙飛行士の大西さんが国際宇宙ステーションでの滞在を終えて帰還されました。宇宙での滞在期間は116日にも及んだそうですが、今では長期滞在が当たり前なので、あまりニュースでも報じられなくなってしまいましたね… さて、今回は、宇…

脳卒中後の歩行速度、歩行耐久性を改善させるシンプルな方法

現代の生体力学(バイオメカニクス)研究では、脳卒中後の歩行速度、歩行耐久性を規定する決定因子を明らかにし、有効な歩行介入の方法論にまで示唆を与えてくれています。 今回は、生体力学が教える脳卒中後の歩行能力を改善させるシンプルな方法について…

脳卒中後の歩行距離を伸ばすためのポイント

友人との買い物、恋人とのデート、家族とのお出かけ、どれも楽しいですよね。私たちは他者との関わり合いの中から「幸せ」を感じます。なぜなら、ヒトは社会的な動物だからです。 『社会心理学が教える幸せの方程式』 他者との社会的活動を共有するためには…

ステップ動作の予測的姿勢制御を理解しよう!

生体力学が言う安定した立位とは、身体重心(Center of mass:COM)が足圧中心(Center of pressure:COP)の真上に保たれている状態のことです。手のひらで棒を立ててバランスをとる場面を想像するとわかりやすですね。 立位で上肢を挙上させるとCOMを前方…

ヒトの皮質網様体路と歩行制御

旭川医科大学の高草木教授は、皮質網様体路と脳卒中後の片麻痺歩行との関係ついても興味深い仮説を述べています。 一般的に脳卒中後の運動機能は上肢に比べ、歩行のほうが改善しやすいとされています。高草木氏は、大脳皮質や内包を通る皮質脊髄路が損傷して…

脳卒中の発症部位と歩行速度

脳卒中後の歩行速度は、その患者さんの生活の質(QOL)に大きく影響します。歩行速度は外出頻度と密接な関係があり、地域参加できることがQOLの向上に寄与するのです。 『脳卒中後の歩行速度とQOL』 このような背景から、歩行速度を改善するための研究が多く…

生体力学が教える速く歩くためのポイント②

スタンフォード大学のNeptuneとLiuらによる生体力学研究によって、速く歩くためには推進力を高めることが必要であり、推進力の増加には足関節底屈筋の筋活動が大きく関与していることが示されました。 速く歩くためのポイントは、地面を蹴る力を高めることな…

生体力学が教える速く歩くためのポイント

最近、歩くのが遅くなった夫を見た妻は、余命や転倒リスクを心配して、夫を病院へ連れて行きました。 『歩行速度で余命を予測しよう』 『歩行速度で転倒リスクを予測しよう』 理学療法士に速く歩けるようになるためにはどうしたら良いか?と尋ねると、理学療…

脳卒中後の歩行速度とQOL

私たちの幸せは、他者との関わり合いの中からもたらされます。 『社会心理学が教える幸せの方程式』 ここでいう他者とは、友人や恋人、家族などの存在でしょう。友人との買い物、恋人とのデート、家族との旅行。どれもが楽しいひとときですよね。しかし、病…

歩行速度で転倒リスクを予測しよう

信号が点滅するまでに横断歩道を渡り終えない夫を見て妻は思いました。 「夫の余命もあと10年程度か…」 『歩行速度で余命を予測しよう』 また、こうも思いました。 「家の中を片付けないとね」 「あと、行ったことのない場所に出かけるときは転倒に注意して…

歩行速度で余命を予測しよう

高齢の夫婦が横断歩道で信号が変わるのをまっています。 信号が青に変わり、夫婦は横断歩道を渡り始めました。 ところが、夫は最近、歩くのが遅くなり、信号が点滅し始めてようやく渡り終えたのです。 このとき、妻は思いました。 「ああ、夫の余命もあと10…

加齢により歩行の適応能力は変化する?②

私たちは年老いると、昨日、食べたものを思い出すことが難しくなるが、自転車を運転したり、車を運転する方法は忘れない。高齢者心理学の進展により、エピソード記憶は加齢の影響を受けるが、習得された運動技能などの手続き記憶は加齢の影響が少ないことが…

加齢により歩行の適応能力は変化する?①

歩行は身体と環境の相互作用により最適な歩行様式に適応される。 『歩行適応 カテゴリーの記事一覧 - リハビリmemo』 これは運動学習の運動適応にもとづくものであり、split belt treadmillの研究によって近年、新たな知見が多く報告されている。 しかし、こ…

歩行適応における踵接地の役割

ドローンはラジコンヘリに比べて何がすごいかというとセンサー技術なんです。スマホが広まるにつれて、センサー技術も高まり、なおかつ安価になったことがドローンの開発に寄与したそうです。 なので、空中で安定して姿勢を保持できるので、空撮に最適なんで…

歩き方をデザインする基準

幼児のヨチヨチ歩きはかわいいですよね。子供はこのようなヨチヨチ歩きを経て、3歳までに大人と同じような標準的な歩行を獲得します。しかし、成長の過程で、子供は「正しく歩こう」とか「美しく歩こう」などとは考えているわけではありませんし、誰かから歩…

歩行の起源

われわれの歩行は、どのような進化の過程で構築され、適応してきたのだろうか? 今回は、歩行の起源と題し、以下について最近の知見をもとに考察してみた。 ・ヒトはいつ、二足歩行を獲得したのか? ・ヒトはなぜ、二足歩行になったのか? ・二足歩行を洗練…

歩行を早く適応させる2つの方法・その2

歩行を早く適応させるポイントは主に2つある。 ・何も考えずに歩く ・学んだことは忘れる 今回は、「学んだことは忘れる」について考察していこう。 その前に、運動学習におけるスキル学習(skill learning)と運動適応(motor adaptation)の違いについて…

歩行を早く適応させる2つの方法

勉強において大事なことは、目標を具体的に定め、その目標を達成するための学習内容を明確にすること。そして、目標を達成するために学習を継続することである。 しかし、しばらくすると飽きる。そして考える。 「もっと良い方法はないのだろうか?」 「もっ…

歩行適応の神経メカニズム

ニューロリハビリテーション(NeuroRehabilitation)という言葉が近年、リハビリテーション医療で広く用いられている。明確な定義はないが、ニューロリハビリテーションとは、Neuroscience based rehabilitation(神経科学にもとづくリハビリテーション)と…

歩行適応について考える

ヒトは足に痛みがあると痛みを回避するように歩き方を変える。このような歩行の適応は即時的に行われ、その歩き方を続けていることで長期的に適応させる。 変形性股関節症では、疼痛を回避するために立脚後期の股関節伸展を減少させた歩容になりやすい。これ…

CPGについて考えよう

理学療法士は患者に合わせた歩行をデザインすることが業である。そうであれば、歩行の「しくみ」を知ることがデザインの質を高めることにつながる。 ヒトが2足歩行を獲得してから約400万年が経つ。石器時代では、獲物を捕るため動物の動きに集中したり、敵の…