リハビリmemo

大学病院勤務・大学院リハビリテーション学所属の理学療法士・トレーナーによる「研究と臨床をつなげるための記録」

肩関節のしくみとリハビリテーション

肩関節の外旋筋力の評価によって腱板断裂の所見が予測できる(論文紹介)

徒手筋力評価によって、腱板断裂の所見(断裂サイズや腱の脂肪浸潤)を予測することは出来るのでしょうか? 今回は、カナダ・サニーブルックス健康科学センターのRazmjouらの肩の外旋筋力と腱板断裂の所見との関係性を調査した報告をご紹介します。 腱板断…

ヒトは投げるために肩を進化させてきた 後編

私たちは投げるために肩を進化させてきました。この根拠について進化形態学では、鎖骨の延長化と肩甲骨の関節窩の垂直化、そして上腕骨の形態的変化から説明しています。 『ヒトは投げるために肩を進化させてきた 中編』 ハーバード大学のRoachらは、ヒトは…

ヒトは投げるために肩を進化させてきた 中編

ハーバード大学の進化生物学者であるRoachらは、進化形態学や生体力学の側面からこう論じています。 「ヒトは投げるために肩を進化させてきた」 チンパンジーなどの類人猿に比べて、ヒトだけがものを速く、強く、正確に投げることができます。これは、ヒトだ…

ヒトは投げるために肩を進化させてきた 前編

WBCもいよいよ佳境に入ってきましたね。それにしても、ヒトの投げる能力には驚くばかりです。野球選手は18.44m離れたピッチャーマウンドから幅43.2cmのホームベース上に速く、正確に投げれるわけですから。 チンパンジーなどの類人猿は、ときどき物を投げま…

肩甲骨のキネマティクスと姿勢との関係を知っておこう

二足歩行を獲得したヒトと、四足移動を行う他の類人猿との違いのひとつに「腰椎の前弯」があります。ヒトには腰椎の前弯がありますが、ゴリラやオラウータンなどの類人猿には腰椎の前弯がありません。進化形態学では、この腰椎の前弯の有無が直立姿勢や二足…

肩甲骨の運動パターンから肩甲骨周囲筋の筋活動を評価しよう

肩甲骨の運動異常(Scapular dyskinesis)の要因のひとつに肩甲骨周囲筋の異常な筋活動があり、これまでに数多くの肩甲骨周囲筋の筋電図研究が行われてきました。しかし、南カルフォルニア大学のMichenerらは、これらの研究成果をたったひとことで一蹴したの…

肩甲骨の運動異常(Scapular dyskinesis)を評価しよう 後編

肩疾患の60%以上に肩甲骨の運動異常(Scapular dyskinesis)が認められることが報告されており、リハビリテーションにおけるScapular dyskiensisの評価、治療の重要性が認識されつつあります。 『新しい概念「Scapular dyskinesis」を知っておこう』 2002年…

肩甲骨の運動異常(Scapular dyskinesis)を評価しよう 中編

肩甲骨の位置や運動の異常を示すScapular dyskinesisは、肩峰下スペースの狭小化を招き、腱板損傷などの腱板病変を生じさせる発症因子とされています。 『新しい概念「Scapular dyskinesis」を知っておこう』 では、リハビリテーションにおいて、Scapular dy…

肩甲骨の運動異常(Scapular dyskinesis)を評価しよう 前編

肩甲骨は上肢の挙上や外転運動にともなって、上方回旋、後傾、外旋といった3軸の動きが生じます。このような肩甲骨の運動により、上腕骨頭と肩峰下のスペースは一定に保たれ、そのスペースにある腱板への圧縮応力が軽減されます。しかし、肩甲骨の位置や運動…

肩甲骨周囲筋の筋電図研究の不都合な真実

腱板断裂などの腱板病変は、肩峰下スペースの狭小化にともなう肩峰下インピンジメントにより発症します。現在では、肩峰下スペースの狭小化を生じさせる解剖学的、生体力学的要因が明らかになり、特に生体力学的要因である肩甲骨のキネマティクスの異常は、…

新しい概念「Scapular dyskinesis」を知っておこう

2013年、British Journal of Sports Medicine主催の第二回国際カンファレンスがアメリカのレキシントンで開催されました。 カンファレンスの参加者名簿には、レキシントンスポーツ医学センターのKibler氏やミネソタ大学のLudewig氏、アルカディア大学のMcClu…

肩甲骨のキネマティクスと小胸筋の関係を知っておこう

腱板断裂などの腱板病変は「肩峰下インピンジメント」により起因し、肩峰下インピンジメントは「肩峰下スペースの狭小化」により誘発されます。 バージニア大学のSeitzらは100以上の論文をレビューし、肩峰下スペースの狭小化は「肩甲骨と上腕骨のキネマティ…

肩甲骨の運動とその役割を正しく理解しよう

アメリカ・バージニア大学のSeitzらは、腱板病変(断裂・損傷)の発症アルゴリズムを提唱し、腱板病変に対するリハビリテーションの重要性を示しています。腱板病変は肩峰下インピンジメントにより発症・増悪します。肩峰下インピンジメントは肩峰下スペース…

腱板断裂(損傷)の発症アルゴリズムからリハビリテーションを考えよう

リハビリテーションをデザインするためには、対象の仕組みを知らなければなりません。 今回は、バージニア大学のSeitzらが提唱する腱板病変(断裂・損傷)の発症アルゴリズムからリハビリテーションについて考えてみましょう。このアルゴリズムは2011年に発…

腱板断裂(損傷)の新しいリスク指標を知ろう!

周りの人を見渡してみましょう。誰ひとりとして同じ顔、体型の人はいないはずです。ヒトの骨格は人それぞれで異なっています。近年、このような骨形態の異なりから、運動機能や病気を予測する病態形態学(Pathological morphology)が注目されています。 骨…

腱板断裂術後の再断裂のリスクが15倍になる!? その指標とは?

今回は、雑誌Journal of Shoulder Elbow Surgeryの2016年9月号より、腱板断裂術後の再断裂を予測する指標についてご紹介します。簡易的な指標で、まだ日本ではあまり取り上げられていないので、研究や臨床で試してみるといいかもしれません。 ◆ 腱板断裂の新…

肩関節痛に対する適切な運動を導くためのアルゴリズム

「肩関節インピンジメント症候群」と聞いてどのような評価と治療を思い浮かべるでしょうか? 理学療法や作業療法は、医師の診断にもとづく診断名に応じて評価・治療を行います。しかし、このような現状に対して2013年、Ludewigらは診断名にもとづいたリハビ…