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リハビリmemo

大学病院勤務、大学院リハビリテーション学所属の理学療法士による、研究と臨床をつなげるための記録

坂道歩行が足関節底屈筋の痙縮を改善させる?

脳卒中後の足関節底屈筋の痙縮は、歩行時の足部のクリアランスを低下させ、歩行能力の低下に寄与します(Fung J, 1994)。また、脳卒中だけでなく、脊髄損傷後の底屈筋の痙縮と歩行能力の低下の関係も示されており(Manella KJ, 2011)、リハビリテーション…

脳卒中後の歩行能力を予測する有効な評価方法とは?

脳卒中後の歩行能力に対して、どのような評価方法を用いるのがもっとも有効なのでしょうか? この疑問の答えとして、とても興味深い報告が雑誌Stokeの2017年1月号に掲載されていたので、ご紹介しながら考えてみたいと思います。 脳卒中後の歩行能力の低下は…

痙縮の発症メカニズムを理解しよう

テキサス大学のLiらは、脳卒中後の痙縮のメカニズムにおける新しい考え方”New insights into the pathophysiology of post-stroke spasticity”というレビューの中で「痙縮は上位運動ニューロンの損傷によって、脊髄の反射回路の興奮性に対する促通と抑制の制…

網様体脊髄路と前庭脊髄路から筋緊張の制御メカニズムを理解しよう

2015年、テキサス大学のLiらは、痙縮のメカニズムについての新しい知見をまとめたシステマティックレビュー”New insights into the pathophysiology of post-stroke spasticity”を発表しました。 通常、脊髄の反射回路の興奮性は、上位運動ニューロンにより…

上位運動ニューロンのメカニズムから痙縮について考えよう

「痙縮とは、上位運動ニューロン病変により、間欠的または持続する不随意な筋活動をきたす感覚-運動制御の障害である」(Pandyan AD, 2005) イギリス・キール大学のPandyanらは、2005年に新しい痙縮の定義を唱え、現代の神経生理学ではこの定義に準拠して研…

筋紡錘のメカニズムから考える痙縮へのアプローチ

1950年代から、筋紡錘のメカニズムにもとづき、痙縮の原因は「筋紡錘の感度の変化」であると考えられてきました。 『筋紡錘のメカニズムから脳卒中の痙縮について考えよう』 この考えは、1970年代に行われた除脳ネコなどの動物実験の結果からも後押しを受け…

筋紡錘のメカニズムから脳卒中の痙縮について考えよう

「脳卒中の痙縮に対する有効なリハビリテーションの知見はありますか?」という質問を受けましたので、今回から何回かに分けて、痙縮のリハビリテーションについて考察してみようと思います。 「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とは孫子の言葉です。痙縮を…

ヒトの大脳皮質と予測的姿勢制御 ①

1985年、アメリカの生理学者であるLibetらは、脳科学の視点から「自由意志」の存在を疑う研究論文”Unconscious cerebral initiative and the role of conscious will in voluntary action”を発表しました(Libet B. 1985)。この論文の内容は「リベットの実…

ヒトの大脳皮質と姿勢制御 ②

ヒトの立位姿勢は、脊髄、脳幹、小脳、基底核そして大脳皮質を含む階層的な神経システムによって制御されています。近年では、ニューロイメージング研究の発展にともない、大脳皮質でも特に補足運動野が立位バランスに関与していることが明らかになりつつあ…

ヒトの大脳皮質と姿勢制御 ①

効果的に姿勢や歩行障害を改善させるためには、そのしくみを理解しリハビリテーションをデザインすることが大切です。運動学や脳科学といった学問により明らかにされた「しくみ」は科学的に検証された知見であり、しくみにもとづくリハビリテーションは、科…

ヒトの皮質網様体路と歩行制御

旭川医科大学の高草木教授は、皮質網様体路と脳卒中後の片麻痺歩行との関係ついても興味深い仮説を述べています。 一般的に脳卒中後の運動機能は上肢に比べ、歩行のほうが改善しやすいとされています。高草木氏は、大脳皮質や内包を通る皮質脊髄路が損傷して…

ヒトの皮質網様体路と姿勢制御 ②

旭川医科大学の高草木教授は、動物実験や病態モデルの研究報告をもとに「皮質網様体路は姿勢制御に関与する」という仮説を提唱しています。 前回のエントリでは、拡散テンソルトラクトグラフィー(Diffusion tensor tractography:DTT)を用いて、初めてヒト…

ヒトの皮質網様体路と姿勢制御 ①

「運動前野、補足運動野から脳幹網様体に至る皮質網様体路は、姿勢制御に関与する」 大脳基底核と運動制御の研究で著名な旭川医科大学の高草木教授は、動物研究、病態モデルからこのような仮説を提唱しています。そしてこの仮説は以下の根拠にもとづいていま…

脳卒中の発症部位と歩行速度

脳卒中後の歩行速度は、その患者さんの生活の質(QOL)に大きく影響します。歩行速度は外出頻度と密接な関係があり、地域参加できることがQOLの向上に寄与するのです。 『脳卒中後の歩行速度とQOL』 このような背景から、歩行速度を改善するための研究が多く…

脳卒中後の回復メカニズムの新たな発見をキャッチアップしよう

1月13日、生理学研究所と名古屋市立大学の研究チームによりリハビリによる脳卒中後の回復メカニズムの新たな発見がThe Journal of Neuroscienceに掲載されました。このニュースはネットメディアでも取り上げていましたね。 『脳出血まひ、回復の「道」判明 …

ロンベルグ試験から立位姿勢制御のしくみを理解しよう

立位姿勢は、視覚、前庭感覚、固有感覚の3つの感覚により制御されている。 ・視覚は、直立姿勢をジャッジするための動きと手がかりを与えてくれる。 ・前庭感覚は、頭部の動きと重力に関する頭位についての情報を与えてくれる。 ・固有感覚は、荷重情報、身…

小脳の障害像と損傷部位の関係を理解しよう

今回は小脳疾患の障害像と損傷部位の関係について勉強しましょう。 それでは、高い棚にある本を取ろうとする場面を思い浮かべてみて下さい。 ここで本をとる際の身体の運動を順を追って見てみましょう。 ①リーチ動作に先行して下肢や背筋の筋が収縮する(予…