リハビリmemo

理学療法士・トレーナーによる筋トレやダイエットについての最新の研究報告を紹介するブログ

腰椎椎間板ヘルニアになりやすい脊椎・骨盤のアライメントとは?

今回は、雑誌European Spine Journalの2014年5月号から「腰椎椎間板ヘルニアが生じやすい脊椎・骨盤アライメント」についての報告をご紹介します。 前回は、腱板断裂のリスクがわかるレントゲン所見の指標である「Critical Shoulder Angle(CSA)」を紹介し…

上位運動ニューロンのメカニズムから痙縮について考えよう

「痙縮とは、上位運動ニューロン病変により、間欠的または持続する不随意な筋活動をきたす感覚-運動制御の障害である」(Pandyan AD, 2005) イギリス・キール大学のPandyanらは、2005年に新しい痙縮の定義を唱え、現代の神経生理学ではこの定義に準拠して研…

腱板断裂術後の再断裂のリスクが15倍になる!? その指標とは?

今回は、雑誌Journal of Shoulder Elbow Surgeryの2016年9月号より、腱板断裂術後の再断裂を予測する指標についてご紹介します。簡易的な指標で、まだ日本ではあまり取り上げられていないので、研究や臨床で試してみるといいかもしれません。 ◆ 腱板断裂の新…

筋紡錘のメカニズムから考える痙縮へのアプローチ

1950年代から、筋紡錘のメカニズムにもとづき、痙縮の原因は「筋紡錘の感度の変化」であると考えられてきました。 『筋紡錘のメカニズムから脳卒中の痙縮について考えよう』 この考えは、1970年代に行われた除脳ネコなどの動物実験の結果からも後押しを受け…

筋紡錘のメカニズムから脳卒中の痙縮について考えよう

「脳卒中の痙縮に対する有効なリハビリテーションの知見はありますか?」という質問を受けましたので、今回から何回かに分けて、痙縮のリハビリテーションについて考察してみようと思います。 「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とは孫子の言葉です。痙縮を…

慢性期の脳卒中に対するヒトの骨髄間葉系幹細胞の臨床効果(論文紹介)

8月14日、外傷性脳損傷に対するヒトの幹細胞を脳に直接注入して機能回復を試みる治験を東大病院が始めることが報道されました。 『<脳損傷回復薬>治験へ 幹細胞注入、米で成果』 最近では、再生医療が脳卒中や脊髄損傷治療のパラダイムシフトを起こし、リ…

H反射を理解して立位姿勢制御のしくみを知ろう

「H反射」この言葉を聞いて嫌になる気持ち、よくわかります。 しかしです、H反射を理解することで立位姿勢制御や歩行制御のメカニズムを知ることができ、臨床におけるクリニカルリーズニングの質を高められるとしたら、少しはこのエントリを読んでみようと…

変形性膝関節症に伴う歩行時の体幹傾斜が体幹筋に与える影響(論文紹介)

今回は、雑誌Gait & Posture7月号に掲載されたマクギル大学のRobbinsらの報告をご紹介します。 変形性膝関節症の患者さんは、歩行時の膝関節に生じる接触応力を軽減するために特徴的な代償歩行を示します。そのひとつに「体幹傾斜(trunk lean)」があります…

変形性膝関節症は体重を減らせばOK!という簡単な話ではありません

変形性膝関節症の発症や悪化の主な原因は、歩行時の膝関節に生じる接触応力とされています。 『変形性膝関節症のリハビリの新しい考え方』 接触応力には体重が大きく関係しているため、変形性膝関節症の発症や悪化の要因に肥満や体重過多が挙げられています…

脳卒中後の歩行速度、歩行耐久性を改善させるシンプルな方法

現代の生体力学(バイオメカニクス)研究では、脳卒中後の歩行速度、歩行耐久性を規定する決定因子を明らかにし、有効な歩行介入の方法論にまで示唆を与えてくれています。 今回は、生体力学が教える脳卒中後の歩行能力を改善させるシンプルな方法について…

脳卒中後の歩行距離を伸ばすためのポイント

友人との買い物、恋人とのデート、家族とのお出かけ、どれも楽しいですよね。私たちは他者との関わり合いの中から「幸せ」を感じます。なぜなら、ヒトは社会的な動物だからです。 『社会心理学が教える幸せの方程式』 他者との社会的活動を共有するためには…

脳卒中の超早期リハビリテーション論争 そして新たな展開へ

2015年に発表された脳卒中の超早期リハビリの大規模RCTであるAVERTⅢ(A very early rehabilitation trial Ⅲ)は超早期リハビリの有効性を棄却するものであった。この結果は、30年にわたる脳卒中の超早期リハビリ論争に一石を投じるものとなり、世界的にも大…

脳卒中の超早期リハビリテーション論争 AVERTⅢの全容と批判

これまで脳卒中の超早期リハビリテーション論争の歴史と推奨派、反対派の主張を見てきた。 『脳卒中の超早期リハビリテーション論争 まとめ①』 『脳卒中の超早期リハビリテーション論争 まとめ②』 今回は、2015年に発表された超早期リハビリの大規模RCTであ…

脳卒中の超早期リハビリテーション論争 まとめ②

脳卒中の超早期リハビリテーションに対する推奨派と反対派の議論は30年にもわたり行われ、巷では「脳卒中の超早期リハビリテーション論争」と呼ばれている。 『脳卒中の超早期リハビリテーション論争 まとめ①』 医学において批判(Critical)という用語は欠…

脳卒中の超早期リハビリテーション論争 まとめ①

今回から、脳卒中の超早期リハビリテーションの30年に及ぶ議論について紹介するとともに、近年、新たな展開を迎えた超早期リハビリテーションの最新の知見までをシリーズで紹介していきたい。まずは超早期リハビリの30年史を見ていこう。 1980年代半ば、スウ…