リハビリmemo

大学病院勤務・大学院リハビリテーション学所属の理学療法士・トレーナーによる「研究と臨床をつなげるための記録」

脳卒中のリハビリテーション

脳卒中のリスクを減少させるタンパク質摂取の最適戦略とは?

「タンパク質の摂取は脳卒中になるリスクを減少させる」 2014年、南京大学のZhangらは、これまでに報告された7つの研究(254,489名を対象)からタンパク質の摂取と脳卒中の発症リスクについてのメタアナリシスを報告しています。 その結果は、動物性タンパ…

脳卒中後の効果的な立ち上がり動作トレーニングとは?

脳卒中後の転倒事例の37%が立ち上がり動作時に生じていることが報告されています(Nyberg L, 1995)。脳卒中により麻痺した下肢の支持性が低下し、体重をかけることが難しくなり、立ち上がり動作時に非麻痺側へ体幹が逸脱してしまうため、転倒が起きやすくな…

脳卒中の急性期でも365日リハビリしよう

「脳卒中後のリハビリは、できるだけ早くから行ったほうが良いのでしょうか?」 この問いに、現代のリハビリテーション医学はこう答えています。 「24時間以内の超早期リハビリに明確な効果はありません」 『脳卒中の超早期リハビリ論争 AVERTⅢの全容と批判…

脳卒中後の歩行速度、歩行耐久性を改善させるシンプルな方法

現代の生体力学(バイオメカニクス)研究では、脳卒中後の歩行速度、歩行耐久性を規定する決定因子を明らかにし、有効な歩行介入の方法論にまで示唆を与えてくれています。 今回は、生体力学が教える脳卒中後の歩行能力を改善させるシンプルな方法について…

脳卒中後の歩行距離を伸ばすためのポイント

友人との買い物、恋人とのデート、家族とのお出かけ、どれも楽しいですよね。私たちは他者との関わり合いの中から「幸せ」を感じます。なぜなら、ヒトは社会的な動物だからです。 『社会心理学が教える幸せの方程式』 他者との社会的活動を共有するためには…

脳卒中の超早期リハビリテーション論争 そして新たな展開へ

2015年に発表された脳卒中の超早期リハビリの大規模RCTであるAVERTⅢ(A very early rehabilitation trial Ⅲ)は超早期リハビリの有効性を棄却するものであった。この結果は、30年にわたる脳卒中の超早期リハビリ論争に一石を投じるものとなり、世界的にも大…

脳卒中の超早期リハビリテーション論争 AVERTⅢの全容と批判

これまで脳卒中の超早期リハビリテーション論争の歴史と推奨派、反対派の主張を見てきた。 『脳卒中の超早期リハビリテーション論争 まとめ①』 『脳卒中の超早期リハビリテーション論争 まとめ②』 今回は、2015年に発表された超早期リハビリの大規模RCTであ…

脳卒中の超早期リハビリテーション論争 まとめ②

脳卒中の超早期リハビリテーションに対する推奨派と反対派の議論は30年にもわたり行われ、巷では「脳卒中の超早期リハビリテーション論争」と呼ばれている。 『脳卒中の超早期リハビリテーション論争 まとめ①』 医学において批判(Critical)という用語は欠…

脳卒中の超早期リハビリテーション論争 まとめ①

今回から、脳卒中の超早期リハビリテーションの30年に及ぶ議論について紹介するとともに、近年、新たな展開を迎えた超早期リハビリテーションの最新の知見までをシリーズで紹介していきたい。まずは超早期リハビリの30年史を見ていこう。 1980年代半ば、スウ…

脳卒中後の歩行速度とQOL

私たちの幸せは、他者との関わり合いの中からもたらされます。 『社会心理学が教える幸せの方程式』 ここでいう他者とは、友人や恋人、家族などの存在でしょう。友人との買い物、恋人とのデート、家族との旅行。どれもが楽しいひとときですよね。しかし、病…

脳卒中後の回復メカニズムの新たな発見をキャッチアップしよう

1月13日、生理学研究所と名古屋市立大学の研究チームによりリハビリによる脳卒中後の回復メカニズムの新たな発見がThe Journal of Neuroscienceに掲載されました。このニュースはネットメディアでも取り上げていましたね。 『脳出血まひ、回復の「道」判明 …

綺麗に歩こうとすると色々な筋肉が痛くなる理由

ヒトは、筋肉や関節を損傷した場合や運動麻痺が生じた場合、無意識に体の使い方を変えることで補うシステム(代償運動)が働きます。 この代償的な体の使い方には、下記の2通りに分かれます。 ①動作を変えずに他の筋を過剰に働かせることで代償するパターン …

筋力トレーニングだけでは効果なし

reference) High-intensity resistance training improves muscle strength, self-reported function, and disability in long-term stroke survivors. Stroke, 2004 脳卒中後の下肢筋力、動作能力に対する筋力トレーニングの有効性について検証した報告(実…

立ち上がり動作と荷重感覚

reference) Perception of weight-bearing distribution during sit-to-stand tasks in hemiparetic and healthy individuals. stroke, 2010 脳卒中患者さんにおける立ち上がり動作の非対称性は、荷重の感覚と筋力、どちらが影響しているか検証した報告。 対…

効果的な立ち上がり練習の方法

reference) The effect of foot position and chair height on the asymmetry of vertical forces during sit-to-stand and stand-to-sit tasks in individuals with hemiparesis. Clinical Biomechanics, 2006 脳卒中片麻痺では、約2〜5割の方に立ち上がり…

中殿筋への機能的電気刺激療法は、歩行の対称性を改善させます

reference) Functional electrical stimulation applied to gluteus medius and tibialis anterior corresponding gait cycle for stroke. Gait & Posture, 2012 片麻痺歩行に対する機能的電気刺激(FES)は前脛骨筋や大腿四頭筋に使用されている。今回、紹…

片麻痺にもインソールは有効。

referance) Immediate effect of lateral-wedged insole on stance and ambulation after stroke. American Journal of Physical Medicine and Rehabilitation, 2010 外側ウェッジ(Lateral-wedged: LW)インソールが脳卒中患者の立位、歩行に与える即時効果…

ただ自転車を漕ぐだけではダメな根拠

reference) Interlimb influences on paretic leg function in poststroke hemiparesis. Journal of neurophysiology, 2005 自転車トレーニングが麻痺側下肢の筋活動パターンに与える影響について調査した報告(実験的研究;前後比較試験)。 対象は、脳卒中…

非麻痺側下肢も見逃すな。

足関節捻挫をすると、無意識に跛(びっこ)を引いて歩くようになる。 これは、捻挫をした足に体重を乗せないように、同側または反対側の下肢の筋活動のパターンを変化させる両下肢間の相互協調性(interlimb coordination)による結果である。 この「interli…

フィードバック療法で麻痺側の足を使えるようにしよう。

脳卒中後の歩行障害の問題点。 それは、「麻痺側下肢の不使用」と言われている。 麻痺側下肢の不使用は、歩行スピードの低下・転倒リスクの増大に起因する(参照) この麻痺側下肢の不使用の改善を目的として、体性感覚・聴覚フィードバック療法が歩行能力、…

視覚的フィードバックで知らないうちに歩行が変わる?

ディズニーランドの「スター・ツアーズ」は、なじみのあるフライトシュミレーターである。これは、ライドの上下左右の動きに画面の映像を合わせることで、無意識的に飛んでいるかのような感覚にさせるバーチャルリアリティ(VR)システムである。 このように…

遊脚期の足関節背屈を増強させる新しいトレーニング

reference) Walking while resisting a perturbation: Effects on ankle dorsiflexor activation during swing and potential for rehabilitation. Gait & Posture, 2011 歩行時遊脚期の足関節背屈を誘発する新しい方法についての報告。 対象は、健常者12名…

歩行立脚期の機能改善には、この装具で。

reference) Effects of an ankle-foot orthosis with oil damper on muscle activity in adults after stroke. Gait & Posture, 2011 オイルダンパー継ぎ手の短下肢装具を使用することによる歩行中の足関節機能への影響について検討した報告。 慢性期脳卒中…

上手に歩くためには、エンジンとブレーキ、どっちが大事?

前回、お話した片麻痺歩行のエネルギーコストを如何に減らすかについて思考を深めてみたい。 reference) Gait differences between individuals with post-stroke hemiparesis and non-disabled controls at matched speeds. Gait & posture, 2005 片麻痺患…

歩行距離をのばすには、やっぱり足関節背屈筋力?

referencez) Contribution of Ankle Dorsiflexor Strength to Walking Endurance in People With Spastic Hemiplegia After Stroke. Archives of physical medicine and rehabilitation, 2012 脳卒中後の歩行の耐久性と足関節の筋力について検討した報告。 …

歩行スピードを高めたいなら、足関節背屈筋力を高めよう。

reference) The Strength of the Ankle Dorsiflexors Has a Significant Contribution to Walking Speed in People Who Can Walk Independently After Stroke: An Observational Study. Archives of physical medicine and rehabilitation, 2012 脳卒中後の…

自転車で突っ張る筋肉をほぐせるかも。

reference) Pedaling alters the excitability and modulation of vastus medialis H-reflexes after stroke. Clinical neurophysiology, 2011 脳卒中後の麻痺側大腿四頭筋(内側広筋)に対する、自転車トレーニングの神経生理学的な効果を調査した報告。 慢…

自転車トレーニングは、ただ漕いでるだけじゃダメ。

referance) A biofeedback cycling training to improve locomotion: a case series study based on gait pattern classification of 153 chronic stroke patients. Journal of neuroengineering and rehabilitation, 2011 視覚的フィードバックを付加した自…

FES自転車運動は姿勢制御に効果的(特に筋緊張が高い場合)

reference) Cycling exercise with functional electrical stimulation improves postural control in stroke patients. Gait & Posture, 2012 慢性脳卒中患者20名を対象に、機能的電気刺激(FES)自転車運動の姿勢制御への即時的効果を調べた報告。 対象を…

脳卒中早期からFES自転車運動で体幹機能を高めよう!

reference) Cycling induced by electrical stimulation improves motor recovery in postacute hemiparetic patients: a randomized controlled trial. storke. 2011 亜急性期の脳卒中患者35人に対して、機能的電気刺激(FES)による自転車運動の効果につい…

自転車トレーニングでは、速度一定でお願いします。

The cortical control of cycling exercise in stroke patients: An fNIRS study. Human brain mapping 2012 脳卒中患者17名を対象に、3つの条件で、脳活動(fNIRS)と両下肢の筋活動バランス(EMG)を計測した。 ①自分で自転車をこぐ・速度フリー(active c…

バランス改善には、足底感覚へのアプローチ!

Effects of plantar hardness discrimination training on standing postural balance in the elderly 60歳〜70歳の高齢者が、不安定板上のバランス訓練を2週間行った場合、コントロール群と比べて重心動揺の減少、Functional Reach Testの改善が認められ、…