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ソイ・プロテインなどの大豆食品によるダイエット効果の最新エビデンス


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 女性に人気のソイ・プロテインイソフラボン、豆乳などの大豆食品ですが、これまでに脂質異常症高脂血症)や心筋梗塞脳梗塞などの心血管疾患、糖尿病を予防する効果があるとして高く評価されてきました(Xiao CW, 2008)。

 

 さらに近年では、ダイエットへの有効性も示唆されるようになり、いくつかのランダム化比較試験(RCT)によりその効果が報告されています(Kwak JH, 2012、Faghih S, 2011)。

 

 しかし、これに対してダイエット効果がないという報告もあり(Keshavarz SA, 2012、Aubertin-Leheudre M, 2008)、大豆食品によるダイエット効果についての議論がつづいていたのです。

 

 この議論にひとつの答えを示したのが2017年に報告されたシーラーズ医科大学のAkhlaghiらのメタアナリシスです。

*メタアナリシスとは、これまでの研究結果を統計的手法により全体としてどのような傾向があるかを解析するエビデンスレベルがもっとも高い研究デザイン。

 

 Akhlaghiらは、大豆または大豆イソフラボンの摂取が体重やウエスト(胴囲)などの指標への減量効果を調査した24の研究報告をもとに解析を行いました。

 

 その結果、大豆は体重やウエストへの減量効果は認められませんでしたが、イソフラボンには女性の体格指数(BMI)の減少効果が認められました。これらの結果から、大豆やイソフラボンによる減量効果は限定的であるとされたのです(Akhlaghi M, 2017)。

 

 しかしながら、Akhlaghiらのメタアナリシスは、太りすぎや肥満の被験者に対象をしぼっていないこと、アジア諸国の被験者が含まれていないこと、大豆とイソフラボンのみの摂取であり、ソイ・プロテインや豆乳などの一般的な大豆食品が含まれず、一般化しづらいことが課題として挙げられていました。

 

 そして、この課題に挑み、最新のメタアナリシスを報告したのがチンタオ大学のMuらです。

 

 今回は、大豆食品によるダイエット効果についての最新エビデンスをご紹介しましょう。

 

 

Table of contents

 

 

◆ 大豆食品はアジア人の女性に高いダイエット効果がある

 

 2019年、Muらは大豆とイソフラボンだけでなく、ソイ・プロテインや豆乳などの一般的な大豆食品の摂取によるダイエット効果を検証した22の研究報告(870名)をもとにメタアナリシスを行いました。

 

 22の研究報告のうち、11が男女を含み、10が女性を対象にしたものであり、すべてが太りすぎまたは肥満の被験者が対象となりました。

 

 大豆食品の摂取期間は2週間〜24週間であり、1日あたりの平均摂取量はソイ・プロテイン25.5g、イソフラボン60〜135mg、豆乳240〜720mLでした。 

 

 比較するための対照群は、ホエイプロテインなどのプラセボが摂取されました。

 

 これらの条件において、大豆食品の摂取による太りすぎや肥満の被験者の体重、BMI、体脂肪、ウエストとヒップへの減少効果が解析されました。

 

 その結果を見ていきましょう。

 

 まず体重への減量効果ですが、大豆食品の摂取は体重の減少効果を示しました。また、地域別に分けたサブグループ解析では、アジア諸国の女性の肥満者に対してより減量効果が高いことが示されました。

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Fig.1:Mu Y, 2019より筆者作成

 

 つぎに体格指数であるBMI(Body mass index)への減量効果です。BMIは身長(mmに換算)を2乗したもので体重で割った値のことであり、WHOでは18.5以上〜25未満が通常体重、25以上〜30未満が太りすぎ、30以上が肥満と分類されています。

 

 そして、大豆食品の摂取はBMIを有意に減少させることが示され、サブグループ解析では体重と同じようにアジア諸国の女性においてより高い減少効果が認められました。

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Fig.2:Mu Y, 2019より筆者作成

 

 脂肪量においても大豆食品の摂取により、有意な減少が示されました。また脂肪量においては男女で減少効果が認められました。

 

 ウエストやヒップの周径では、全体的に有意な減少は認められませんでしたが、アジア諸国に限定すると、女性においてウエストの減少が認められました。

 

 これらの結果から、Muらは大豆食品の摂取は、体重、BMI、脂肪量を減少させ、その効果はとくにアジア諸国の女性において効果的であるとしています。

 

 では、なぜ大豆食品にはこれらのダイエット効果があり、その効果はアジア諸国において高いのでしょうか?



◆ 大豆食品によるダイエット効果のメカニズムを知っておこう!

 

 大豆食品の摂取によるダイエット効果は、大豆に含まれるタンパク質、イソフラボン、食物繊維によって説明できます。

 

 タンパク質の摂取は、食欲を促進するグレリンの分泌を抑え、食欲を低下させるコレシストキニン(CCK)の分泌が促進されることが示唆されています。この作用により満腹感が高まり減量に寄与したと推察されています。

 

 イソフラボンは脂質の生成を抑制するとともに、脂質の蓄積を減らすことができることが示唆されています(Akhlaghi M, 2016)。また、肥満の要因にインスリン抵抗性が挙げられていますが、イソフラボンの摂取はインスリン抵抗性の改善に寄与することが報告されています(Sites CK, 2007)。

ダイエットするなら「太るメカニズム」を理解しよう!〜糖類編〜

 

 さらに、イソフラボンエストロゲン受容体に結合することで、エストロゲンと同じように食欲を抑制し、消費エネルギーを調節し、脂肪の蓄積を防ぐ作用が認められています(Rietjens I, 2017)。

 

 近年、食物繊維を多く含んだ全粒穀物などの食品の摂取が炭水化物の吸収を遅らせることにより体重を効果的に減少できることが多く報告されています(Liu S, 2003)。そのため、大豆食品に含まれる食物繊維が多いほど減量効果が期待できます。

 

 Muらは、大豆食品のもつこれらの作用が減量効果に寄与したと述べています。

 

 また、大豆食品がアジア人により効果的であった理由に「遺伝子」の影響を挙げています。

 

 肥満に関連する遺伝子として挙げられるのが「倹約遺伝子」です。倹約遺伝子が発現しているヒトは、脂肪をできるだけ多く貯蔵する性質をもちます。この性質は食料の乏しかった旧石器時代において有利であり、倹約遺伝子をもつヒトが選択的に生き残ったとされています。

 

 しかし、食物が豊富な現代では、その遺伝子による性質がミスマッチを生み、肥満になりやすくなるのです。

 

 そして、この倹約遺伝子の発現がアメリカやヨーロッパで高く、アジア諸国では低い可能性が示唆されており(Liu S, 2011)、Muらは、太りやすい性質をもつ欧米人よりも太りにくいアジア人でより大豆食品による減量効果が高かったのだろうと推察しています。



 Muらのメタアナリシスは、出版バイアスおよび高い異質性(研究間のデータのバラツキ)は認められず、質の高い解析結果といえるでしょう。しかしながら、大豆食品による減量効果がアジア諸国で高い理由として挙げられている倹約遺伝子ですが、まだ仮説段階であるため、今後のさらなる検証が必要と思われます。

 

 今回のメタアナリシスで、大豆食品によるダイエット効果がアジア人の女性に効果的であることが示されました。

 

 これは女性がダイエット目的で大豆食品を摂取することの科学的根拠を与えてくれます。とくに肥満の方には有効でしょう。また、大豆はタンパク質も豊富なので、筋トレしながらのダイエットに最適かもしれませんね。

 

 

 

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◆ ダイエットの科学シリーズ

シリーズ1:「朝食を食べないと太る」というのは都市伝説?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ2:ダイエットが続かないのは「寝不足」が原因?【最新エビデンス】

シリーズ3:テレビをつけたまま寝ると太る最新エビデンス

シリーズ4:コーヒーにはダイエット効果がある?【最新エビデンス】

シリーズ5:ダイエットするなら「太るメカニズム」を理解しよう!〜糖類編〜

シリーズ6:ダイエットするなら「太るメカニズム」を理解しよう!〜脂質編〜

シリーズ7:筋トレをして筋肉を増やせばダイエットできる説を検証しよう!

シリーズ8:ソイ・プロテインなどの大豆食品によるダイエット効果の最新エビデンス 

 

 

◆ 参考文献

Xiao CW, et al. Health Effects of Soy Protein and Isoflavones in Humans. J Nutr. 2008 Jun;138(6):1244S-9S. 

Kwak JH, et al. Weight Reduction Effects of a Black Soy Peptide Supplement in Overweight and Obese Subjects: Double Blind, Randomized, Controlled Study.  Food Funct . 2012 Oct;3(10):1019-24. 

Faghih S, et al. Comparison of the Effects of Cows' Milk, Fortified Soy Milk, and Calcium Supplement on Weight and Fat Loss in Premenopausal Overweight and Obese Women.  Nutr Metab Cardiovasc Dis . 2011 Jul;21(7):499-503. 

Keshavarz SA, et al. Effect of Soymilk Consumption on Waist Circumference and Cardiovascular Risks Among Overweight and Obese Female Adults. Int J Prev Med . 2012 Nov;3(11):798-805.

Aubertin-Leheudre M, et al. Isoflavones and Clinical Cardiovascular Risk Factors in Obese Postmenopausal Women: A Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Trial.  J Womens Health (Larchmt) . 2008 Oct;17(8):1363-9. 

Akhlaghi M, et al. Effect of Soy and Soy Isoflavones on Obesity-Related Anthropometric Measures: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Clinical Trials.  Adv Nutr . 2017 Sep 15;8(5):705-717. 

Mu Y, et al. Soy Products Ameliorate Obesity-Related Anthropometric Indicators in Overweight or Obese Asian and Non-Menopausal Women: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Nutrients . 2019 Nov 15;11(11):2790. 

Akhlaghi M, et al. Non-alcoholic Fatty Liver Disease: Beneficial Effects of Flavonoids.  Phytother Res . 2016 Oct;30(10):1559-1571. 

Sites CK, et al. Effect of a Daily Supplement of Soy Protein on Body Composition and Insulin Secretion in Postmenopausal Women. Fertil Steril. 2007 Dec;88(6):1609-17. 

Rietjens I, et al. The Potential Health Effects of Dietary Phytoestrogens.  Br J Pharmacol . 2017 Jun;174(11):1263-1280. 

Liu S, et al. Relation Between Changes in Intakes of Dietary Fiber and Grain Products and Changes in Weight and Development of Obesity Among Middle-Aged Women. Am J Clin Nutr . 2003 Nov;78(5):920-7. 

Li X, et al. Worldwide Spatial Genetic Structure of Angiotensin-Converting Enzyme Gene: A New Evolutionary Ecological Evidence for the Thrifty Genotype Hypothesis. Eur J Hum Genet . 2011 Sep;19(9):1002-8. 

 

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