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ダイエットするなら「白米よりも玄米」を食べよう!【最新エビデンス】


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 炭水化物には「太る炭水化物」と「やせる炭水化物」があります。

 

 炭水化物は糖質に食物繊維を合わせたもので、太る炭水化物とやせる炭水化物の見極めは含まれる「食物繊維の量」によって決まるとされています。

 

 食物繊維には満腹感を高め、腸での糖質や脂質の吸収を遅らせ、腸内環境を整えて腸内細菌の活動を促すなどの肥満を防ぐ作用があります。

 

 食物繊維が少ない炭水化物は、このような肥満を防止する作用が低いため「太る炭水化物」とされ、食物繊維の多い炭水化物は「やせる炭水化物」とされているのです。

 

 しかしながら、やせる炭水化物をただ摂取すれば良いというわけではありません。やせる炭水化物を含む食品を多くメニューに取り入れ、食物繊維を「1日あたり25g以上」摂取することでダイエット効果が得られるとされています。

ダイエットするなら「やせる炭水化物」を食べよう!その見極めポイントとは?

 

 では、やせる炭水化物を含む食品とは、どのようなものがあるのでしょうか?

 

 今回は、僕たちが良く食べる白米や小麦粉(パン、パスタ、ラーメンなど)といった精製された穀物と、玄米や全粒粉のような精製されていない全粒穀物を比較しながら見ていきましょう。



Table of contents

 



◆ やせる炭水化物は、加工によって太る炭水化物になる

 

 リンゴを皮つきのまま食べると、皮が硬いため噛む回数が多くなります。皮をむくと噛む回数も減り、ジャムにするとさらに減ります。ジュースにすると噛むこともありません。

 

 これは「皮をむく」、「ジャムにする」、「ジュースにする」といった加工により食物繊維が取り除かれることで、食べやすくなるからです。

 

 皮のついたリンゴ100gの食物繊維の量は2.5gになります。これに対して、皮をむくと食物繊維は1.4gに減り、ジャムにすると0.8g、ジュースにすると0gになります(日本食品標準成分表2015年版参照)。

 

 ここからわかることは、食物繊維の多い「やせる炭水化物」でも、食べやすく加工されると食物繊維が減って「太る炭水化物」になるということです。

 

 炭水化物は糖質と食物繊維からできています。

 

 炭水化物 = 糖質 + 食物繊維

 

 しかし、加工によって食物繊維が取り除かれてしまうと、残りは「糖質のみ」になってしまいます。

 

 炭水化物 = 糖質 + 食物繊維 ≒ 糖質のみ

 

 食物繊維が減ると食べやすくなり、腸で糖質を吸収しやすくなります。また、糖が大好きな脳はこれを「美味しい」と感じて食べる速度を速くし、食べる量を増やそうとする(摂取率を高める)ため、太りやすくなるのです。

ダイエットは「超加工食品を食べないこと」からはじめよう!

 

 では、僕たちが良く食べるご飯(白米)やパン、パスタ、うどんの材料である小麦粉といった穀物は太る炭水化物なのでしょうか?それとも、やせる炭水化物なのでしょうか?

 

 これを見極めるために、その加工過程を知ることが重要になります。

 

 白米のもとは玄米であり、小麦粉のもとは全粒粉といった全粒穀物になります。まずは白米の加工(精米)過程から見ていきましょう。

 

 玄米は表皮(ふすま)、胚芽、胚乳の3つの部分からなり、それぞれに異なった栄養素が含まれています。

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 ふすまにはビタミンB、鉄、銅、亜鉛マグネシウムとともに植物繊維が豊富に含まれています。胚芽には健康な脂肪、ビタミンE、ビタミンB、抗酸化物質が豊富に含まれています。胚乳にはデンプン(糖質)が多く含まれています。

 

 では、玄米を徐々に精米してみましょう。

 

 まずは、ふすまを半分(50%)取り除くと「5分米」になり、70%取り除くと「7分米」になります。ふすまだけを完全に取り除き、胚芽を残したものは「胚芽米」になります。そして、ふすまも胚芽も取り除き、胚乳だけになったのが「白米」になります。

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 精米によってふすまや胚芽を取り除いていくと、含まれる食物繊維が減っていきます。食物繊維の量は玄米100gあたり3.0gですが、精米して5分米になると1.4gと半分になり、7分米は0.9g、白米になると0.5gと玄米の6分の1の量まで減ってしまうのです(日本食品標準成分表2015年版参照)。

 

 つまり、玄米は食物繊維を豊富に含むため「やせる炭水化物」になりますが、玄米を精米してふすまや胚芽を取り除いた白米は、食物繊維が少なく、デンプン(糖質)のみになるので「ふとる炭水化物」になります。

 

 白米は食物繊維が少ないことから食べやすく、糖質のみなので美味しく感じます。これが玄米よりも白米が好まれる理由ですが、結果として僕たちは白米という太る炭水化物が主食になってしまっているのです。

 

 つぎにパンやパスタなどの材料となる小麦粉の加工(製粉)過程を見てみましょう。

 

 小麦粉のもとは小麦になります。小麦も玄米と同じように表皮(ふすま)、胚芽、胚乳の3つの部分があります。これらを粉にしたものを全粒粉といい、そこから胚乳だけを取り出したものが小麦粉になります。

 

 ふすまには食物繊維が多く含まれているため、ふすまがある全粒粉は「やせる炭水化物」になります。しかし、胚乳だけを集めた小麦粉はデンプン(糖質)のみになるため「太る炭水化物」になります。小麦粉を使った食品が柔らかくて美味しいのは、加工(製粉)により食物繊維が取り除かれ、糖質が主な材料になっているからです。

 

 玄米や全粒粉といった全粒穀物は「やせる炭水化物」になりますが、これらを精製した白米や小麦粉を使ったパンやパスタ、ラーメンは「太る炭水化物」になるのです。

 

 では、実際に玄米などの全粒穀物はダイエットに効果的なのでしょうか?



◆ 全粒穀物は健康的な「やせる炭水化物」

 

 全粒穀物や精製穀物などの食品の摂取量と肥満のリスクとの関連についてメタアナリシスを報告したのがハインリッヒ・ハイネ大学のSchlesingerらです。

*メタアナリシスとは、これまでに報告された同じテーマの研究結果を集めて、全体としてどのような傾向をがあるのかを解析するエビデンスレベルのもっとも高い研究手法のこと。

 

 2019年、Schlesingerらは、これまでに報告された43の研究報告をもとに、玄米などの全粒穀物と白米や小麦粉などの精製穀物の摂取量と肥満のリスクについて解析しました。

 

 その結果、全粒穀物の摂取量の増加は肥満のリスクの減少と関連しており、1日あたりの摂取量を30g増やすと、肥満のリスクが7%減少することが示されました。

 

 これに対して、精製穀物の摂取は肥満のリスクの増加と関連しており、とくに1日あたりの摂取量が90gを超えると肥満のリスクが高まることが示されました。

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Fig.1:Schlesinger S, 2019より筆者作成

 

 これらの結果から、精製穀物の摂取量を減らして、全粒穀物の摂取量を増やすことは、肥満リスクの減少と関連していることが示唆されてたのです。

 

 また、オタゴ大学のReynoldsらは全粒穀物の摂取が体重や病気の発症リスクに与える影響についてのメタアナリシスを報告しています。

 

 Reynoldsらはこれまに報告された185の観察研究、58の介入研究からなる1億3500万人のデータをもとに、全粒穀物の摂取が体重やトリグリセリドなど肥満のリスク因子に与える影響とともに、すべての病気による死亡率や心臓病、糖尿病などの発症率との関連について解析しました。

 

 その結果、全粒穀物の摂取は体重の減少に寄与することが示されましたが、トリグリセリドなどの肥満のリスク因子には影響は認められませんでした。

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Fig.2:Reynolds A, 2019より筆者作成

 

 また、全粒穀物の摂取量を増やすことは、すべての病気による死亡率、心臓病や2型糖尿病、結腸・直腸癌の発症率のリスクを13〜33%減少させることが示されました。

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Fig.3:Reynolds A, 2019より筆者作成

 

 これらの結果は、全粒穀物の摂取量を増やすことが、体重の減少を促進するとともに、心臓病や糖尿病、がんの発症リスクの減少にもつながることを示唆しています。

 

 白米などの精製穀物の代わりに玄米などの全粒穀物を摂取することは、体重を減少させるだけでなく、病気の発症も抑えてくれる効果があり、健康的なダイエットにつながるとされているのです。

 

 これが、ダイエットするなら白米や小麦粉などの「太る炭水化物」よりも、玄米や全粒粉などの「やせる炭水化物」を摂取しようと言われる理由です。

 

 では、日本人においても白米を食べると太ってしまうのでしょうか?



◆ 白米を玄米に置き換えよう!

 

 日本人の主食である白米は、柔らかくて美味しいです。しかし、白米は玄米から食物繊維を取り除いた「太る炭水化物」とされています。

 

 では、日本人においても白米を食べることは太ることと関連しているのでしょうか?

 

 この調査を行ったのが名古屋女子大学のSawadaらです。

 

 Sawadaらは、日本人437名を対象に、1年間における白米または玄米の摂取量と体重の変化との関連を調査しました。

 

 その結果、白米の摂取量が多いことは、白米の摂取量が少ない場合と比較して、1年間で体重が3kg以上増加するリスクが高くなことが示されました。また、玄米の摂取は体重の増加と関連がないことが示されました(Sawada K, 2019)。

 

 また、日本人を対象に、太る炭水化物である小麦粉を使用した精製小麦パンを、やせる炭水化物である全粒粉を使用した全粒小麦パンに置き換えると、内臓脂肪が有意に減少することが報告されています(Kikuchi Y, 2018)。

 

 このように日本人を対象とした研究においても、精製穀物の摂取を減らして、全粒穀物の摂取を増やすことが体重の減少に寄与することが示唆されているのです。

 

 

 僕たちが白米やパン、パスタ、ラーメンが大好きなのは、全粒穀物から精製加工により食物繊維が取り除かれ、糖質が主成分になるからです。精製穀物は、その食べやすさや美味しさから、単位時間あたりの摂取量が多くなります(摂取率が高まる)。これが太る要因になるのです。

 

 そこでダイエットするには炭水化物を制限しようと言われますが、炭水化物をすべて制限するのは精神的にも辛いことです。そこで現代の栄養学は、白米などの精製穀物を玄米などの全粒穀物に「置き換える」ことで食物繊維の摂取量を増やし、健康的にダイエットすることを推奨しているのです。

 

 ダイエットするときには、白米ではなく玄米やオートミール、小麦粉を使ったパンやパスタではなく全粒粉を使ったパンやパスタ、蕎麦粉の多いお蕎麦を選んで食べるようにしましょう。

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 しかしながら、ダイエットするには、食物繊維を1日あたり25g以上の摂取が目標になります。精製穀物を全粒穀物に置き換えただけでは、これだけの食物繊維を摂取することは難しいでしょう。ダイエットするにはさらに食物繊維を多く含む食品を摂取することが必要になります。

 

 では、どのような食品を摂取すれば良いのでしょうか?

 

 次回は、ダイエットで食べるべき「野菜と果物」について考察していきましょう。

 

 

 

 

 

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◆ ダイエットの科学シリーズ

シリーズ1:「朝食を食べないと太る」というのは都市伝説?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ2:ダイエットが続かないのは「寝不足」が原因?【最新エビデンス】

シリーズ3:テレビをつけたまま寝ると太る最新エビデンス

シリーズ4:コーヒーにはダイエット効果がある?【最新エビデンス】

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シリーズ6:ダイエットするなら「太るメカニズム」を理解しよう!〜脂質編〜

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シリーズ8:ソイ・プロテインなどの大豆食品によるダイエット効果の最新エビデンス

シリーズ9:太ると頭が悪くなる?最新エビデンスを知っておこう!

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シリーズ12:筋肉を減らさない科学的に正しいダイエット方法を知っておこう!【食事編】

シリーズ13:筋肉を減らさずにダイエットするならタンパク質の摂取量を増やそう!

シリーズ14:ダイエットで食欲を抑えたいならタンパク質を摂取しよう!

シリーズ15:タンパク質が食欲を減らすメカニズムを知っておこう!

シリーズ16:寝不足がダイエットの邪魔をする!〜睡眠不足が食欲を高める最新エビデンス

シリーズ17:ダイエットは超加工食品を避けることからはじめよう!

シリーズ18:ダイエットするなら「太る炭水化物」と「やせる炭水化物」を見極めよう!

 シリーズ19:ダイエットするなら「白米よりも玄米」を食べよう!

 

 

www.awin1.com

 

 

◆ 参考文献

Schlesinger S, et al. Food Groups and Risk of Overweight, Obesity, and Weight Gain: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Prospective Studies. Adv Nutr. 2019 Mar 1;10(2):205-218.

Reynolds A, et al. Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses. Lancet . 2019 Feb 2;393(10170):434-445.

Sawada K, et al. Relationship between rice consumption and body weight gain in Japanese workers: white versus brown rice/multigrain rice. Appl Physiol Nutr Metab. 2019 May;44(5):528-532.

Kikuchi Y, et al. Effects of Whole Grain Wheat Bread on Visceral Fat Obesity in Japanese Subjects: A Randomized Double-Blind Study. Plant Foods Hum Nutr. 2018 Sep;73(3):161-165.