リハビリmemo

大学病院勤務・大学院リハビリテーション学所属の理学療法士による「研究と臨床をつなげるための記録」

脳卒中のリスクを減少させるタンパク質摂取の最適戦略とは?

「タンパク質の摂取は脳卒中になるリスクを減少させる」 2014年、南京大学のZhangらは、これまでに報告された7つの研究(254,489名を対象)からタンパク質の摂取と脳卒中の発症リスクについてのメタアナリシスを報告しています。 その結果は、動物性タンパ…

筋トレの効果を最大にするロイシンについて知っておこう

市販されているプロテイン・サプリメントは数多くあり、そのもととなるタンパク質の種類には、乳タンパク質のホエイやカゼイン、大豆タンパク質のソイなどがあります。そのため「どのタンパク質がもっともトレーニングの効果を高めるのか?」という声をよく…

筋トレの効果を最大にするタンパク質の品質について知っておこう

筋肉のもとである筋タンパク質は、トレーニングとタンパク質の摂取によって、その合成作用を増加させ、筋肉を肥大させます。 筋タンパク質の合成作用 = トレーニング × タンパク質の摂取 トレーニングの成果を最大にするためには、摂取するタンパク質の摂取…

変形性膝関節症のウォーキングの注意点を知っておこう

「なるべくウォーキングをしましょう」 変形性膝関節症や変形性股関節症の保存療法において、多くの医療者はウォーキングを推奨しています。 歩行の機会が少なくなると関節症の悪化や筋力の低下、心肺および血管機能の低下が進み、生活の質(QOL)が損なわれ…

筋トレの効果を最大にするトレーニングの頻度について知っておこう

「筋タンパク質の合成作用を最大化させる」 現代のスポーツ運動生理学は、筋力トレーニングの目的についてこのように述べています。効果的なトレーニングとは、筋肉のもとである筋タンパク質の合成作用を効率的に高めるトレーニングのことを言います。現在で…

筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間について知っておこう

近年のスポーツ運動生理学、スポーツ栄養学の発展にともない、筋力トレーニングに対する考え方の大きなパラダイムシフトが起きています。 これらの学問では、トレーニングの効果を最大にするためには「筋タンパク質の合成作用を高めるトレーニング内容、タン…

筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう

2009年、アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine:ACSM)から「レジスタンストレーニングのガイドライン」が発表され、現代のトレーニング方法の基準となっています。(American College of Sports Medicine. 2009)。 しかし、近年、…

変形性股関節症・変形性膝関節症の保存療法によるリスクを知っておこう

「手術をすべきか、しないべきか」 多くの患者さんが迷うところだと思います。 この判断をするためには、手術による利点とリスク、手術をしないことによる利点とリスクを正しく理解することが大切です。 変形性股関節症や変形性膝関節症の主な手術は、人工股…

筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)の実践論

現代のスポーツ運動生理学は、トレーニングによって効果的に筋肉を肥大させるためには「自分を追い込み、総負荷量を増やせ」と言います。 これまで筋肉を肥大させるためには、高強度のトレーニングを行うことが推奨されてきました。これは高い運動強度によっ…

筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)について知っておこう

トレーニングによって筋肥大を起こさせるためには、筋肉を構成する筋タンパク質の合成作用が分解作用を上回らなければなりません。 筋肥大=筋タンパク質の合成作用 > 分解作用 筋タンパク質の合成作用は、トレーニング内容とタンパク質の摂取状況というふ…

筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取の方法論

2016年、オランダ・マーストリヒト大学のTrommelenらは、雑誌Nutrientsで就寝前のタンパク質摂取がトレーニング効果を高める根拠や、その方法論について体系化させたレビュー(まとめ)を報告しています(Trommelen J, 2016)。現代のスポーツ栄養学では、就…

筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取を知っておこう

私たちの筋肉が増えたり、減ったりするのは、筋肉のもとである筋タンパク質の合成作用と分解作用のバランスによって決まります。筋肉を増やすためには、筋タンパク質の合成作用が分解作用を上回らなければなりません。 『筋肉を増やすための栄養摂取のメカニ…

筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう

筋肉は筋タンパク質によって作られています。筋タンパク質は24時間、いつも合成と分解を繰り返していますが、私たちの筋肉の量が保たれているのは筋タンパク質の合成と分解のバランスが釣り合っているからです。 『筋肉を増やすための栄養摂取のメカニズムを…

筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取タイミングを知っておこう

前回はタンパク質の摂取量についてスポーツ栄養学の知見から考察してきました。 『筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう』 今回はタンパク質を摂取する「タイミング」に目を向けてみましょう。タンパク質はいつでも摂取すれば良いとい…

筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう

筋肉を構成する筋タンパク質は、食事により摂取されたタンパク質(アミノ酸)の量に依存して作られます(合成されます)。この筋タンパク質を合成する量が分解する量を上回ることによって筋肉が増えます。 『筋肉を増やすための栄養摂取のメカニズムを理解し…

筋肉を増やすための栄養摂取のメカニズムを理解しよう

「科学により裏付けされたタンパク質の摂取方法(量や質、タイミング)を実践することで、日頃のトレーニングの効果を最大限に引き出すことが可能になる」 現代のスポーツ栄養学では、効率的に筋肉を増やす方法についてこのように述べています。近年、アミノ…

脳卒中後の効果的な立ち上がり動作トレーニングとは?

脳卒中後の転倒事例の37%が立ち上がり動作時に生じていることが報告されています(Nyberg L, 1995)。脳卒中により麻痺した下肢の支持性が低下し、体重をかけることが難しくなり、立ち上がり動作時に非麻痺側へ体幹が逸脱してしまうため、転倒が起きやすくな…

人工股関節置換術・人工膝関節置換術の再置換率を知っておこう

手術をするか、しないかの決断は、手術による利益とリスクのバランスによって判断されます。利益が大きくリスクが少なければ手術を選択しやすいですが、あまりにリスクが大きい場合には、手術を躊躇するでしょう。そのため、患者さんは手術の利益とリスクを…

2017年4月 最新のリハビリ論文まとめ

今回は、2017年の3月までに報告されたリハビリに関する論文をいくつかピックアップしています。Natureの2017年3月号では「Nature Index 2017 Japan」というテーマで日本の科学研究の失速が話題になっていますが、最近のリハビリ関連の研究では多くの日本人が…

ヒトは投げるために肩を進化させてきた 後編

私たちは投げるために肩を進化させてきました。この根拠について進化形態学では、鎖骨の延長化と肩甲骨の関節窩の垂直化、そして上腕骨の形態的変化から説明しています。 『ヒトは投げるために肩を進化させてきた 中編』 ハーバード大学のRoachらは、ヒトは…

ヒトは投げるために肩を進化させてきた 中編

ハーバード大学の進化生物学者であるRoachらは、進化形態学や生体力学の側面からこう論じています。 「ヒトは投げるために肩を進化させてきた」 チンパンジーなどの類人猿に比べて、ヒトだけがものを速く、強く、正確に投げることができます。これは、ヒトだ…

ヒトは投げるために肩を進化させてきた 前編

WBCもいよいよ佳境に入ってきましたね。それにしても、ヒトの投げる能力には驚くばかりです。野球選手は18.44m離れたピッチャーマウンドから幅43.2cmのホームベース上に速く、正確に投げれるわけですから。 チンパンジーなどの類人猿は、ときどき物を投げま…

変形性股関節症の悪化を予測する新しい指標を知っておこう

現代の生体力学研究は「股関節に生じる接触応力」が変形性股関節症を悪化させる要因であることを明らかにしています。股関節の局所に接触応力が高まることによって、股関節の滑膜に炎症が生じ、軟骨変性や骨棘が形成され、変形が増悪していきます。この接触…

坂道歩行が足関節底屈筋の痙縮を改善させる?

脳卒中後の足関節底屈筋の痙縮は、歩行時の足部のクリアランスを低下させ、歩行能力の低下に寄与します(Fung J, 1994)。また、脳卒中だけでなく、脊髄損傷後の底屈筋の痙縮と歩行能力の低下の関係も示されており(Manella KJ, 2011)、リハビリテーション…

肩甲骨のキネマティクスと姿勢との関係を知っておこう

二足歩行を獲得したヒトと、四足移動を行う他の類人猿との違いのひとつに「腰椎の前弯」があります。ヒトには腰椎の前弯がありますが、ゴリラやオラウータンなどの類人猿には腰椎の前弯がありません。進化形態学では、この腰椎の前弯の有無が直立姿勢や二足…

脳卒中の急性期でも365日リハビリしよう

「脳卒中後のリハビリは、できるだけ早くから行ったほうが良いのでしょうか?」 この問いに、現代のリハビリテーション医学はこう答えています。 「24時間以内の超早期リハビリに明確な効果はありません」 『脳卒中の超早期リハビリ論争 AVERTⅢの全容と批判…

肩甲骨の運動パターンから肩甲骨周囲筋の筋活動を評価しよう

肩甲骨の運動異常(Scapular dyskinesis)の要因のひとつに肩甲骨周囲筋の異常な筋活動があり、これまでに数多くの肩甲骨周囲筋の筋電図研究が行われてきました。しかし、南カルフォルニア大学のMichenerらは、これらの研究成果をたったひとことで一蹴したの…

肩甲骨の運動異常(Scapular dyskinesis)を評価しよう 後編

肩疾患の60%以上に肩甲骨の運動異常(Scapular dyskinesis)が認められることが報告されており、リハビリテーションにおけるScapular dyskiensisの評価、治療の重要性が認識されつつあります。 『新しい概念「Scapular dyskinesis」を知っておこう』 2002年…

肩甲骨の運動異常(Scapular dyskinesis)を評価しよう 中編

肩甲骨の位置や運動の異常を示すScapular dyskinesisは、肩峰下スペースの狭小化を招き、腱板損傷などの腱板病変を生じさせる発症因子とされています。 『新しい概念「Scapular dyskinesis」を知っておこう』 では、リハビリテーションにおいて、Scapular dy…

肩甲骨の運動異常(Scapular dyskinesis)を評価しよう 前編

肩甲骨は上肢の挙上や外転運動にともなって、上方回旋、後傾、外旋といった3軸の動きが生じます。このような肩甲骨の運動により、上腕骨頭と肩峰下のスペースは一定に保たれ、そのスペースにある腱板への圧縮応力が軽減されます。しかし、肩甲骨の位置や運動…

肩甲骨周囲筋の筋電図研究の不都合な真実

腱板断裂などの腱板病変は、肩峰下スペースの狭小化にともなう肩峰下インピンジメントにより発症します。現在では、肩峰下スペースの狭小化を生じさせる解剖学的、生体力学的要因が明らかになり、特に生体力学的要因である肩甲骨のキネマティクスの異常は、…

脳卒中後の歩行能力を予測する有効な評価方法とは?

脳卒中後の歩行能力に対して、どのような評価方法を用いるのがもっとも有効なのでしょうか? この疑問の答えとして、とても興味深い報告が雑誌Stokeの2017年1月号に掲載されていたので、ご紹介しながら考えてみたいと思います。 脳卒中後の歩行能力の低下は…

新しい概念「Scapular dyskinesis」を知っておこう

2013年、British Journal of Sports Medicine主催の第二回国際カンファレンスがアメリカのレキシントンで開催されました。 カンファレンスの参加者名簿には、レキシントンスポーツ医学センターのKibler氏やミネソタ大学のLudewig氏、アルカディア大学のMcClu…

肩甲骨のキネマティクスと小胸筋の関係を知っておこう

腱板断裂などの腱板病変は「肩峰下インピンジメント」により起因し、肩峰下インピンジメントは「肩峰下スペースの狭小化」により誘発されます。 バージニア大学のSeitzらは100以上の論文をレビューし、肩峰下スペースの狭小化は「肩甲骨と上腕骨のキネマティ…

睡眠薬のメカニズムと転倒リスクについて知っておこう

先日、当院の医療安全委員会で、転倒事例のケースカンファレンスを行ったのですが、そこで睡眠薬のゾルピデム(マイスリー)と転倒リスクについての話題が挙がりました。 ゾルピデムの商品名は「マイスリー」で、その名前は医療関係者でなくとも聞いたことが…

肩甲骨の運動とその役割を正しく理解しよう

アメリカ・バージニア大学のSeitzらは、腱板病変(断裂・損傷)の発症アルゴリズムを提唱し、腱板病変に対するリハビリテーションの重要性を示しています。腱板病変は肩峰下インピンジメントにより発症・増悪します。肩峰下インピンジメントは肩峰下スペース…

腱板断裂(損傷)の発症アルゴリズムからリハビリテーションを考えよう

リハビリテーションをデザインするためには、対象の仕組みを知らなければなりません。 今回は、バージニア大学のSeitzらが提唱する腱板病変(断裂・損傷)の発症アルゴリズムからリハビリテーションについて考えてみましょう。このアルゴリズムは2011年に発…

腱板断裂(損傷)の新しいリスク指標を知ろう!

周りの人を見渡してみましょう。誰ひとりとして同じ顔、体型の人はいないはずです。ヒトの骨格は人それぞれで異なっています。近年、このような骨形態の異なりから、運動機能や病気を予測する病態形態学(Pathological morphology)が注目されています。 骨…

レントゲンでもわからない初期の変形性膝関節症を示す「ある痛み」とは?

早期治療には「早期発見」が大切です。 誰でも膝が痛いときは病院へ行かれると思います。病院では、変形性膝関節症が疑われる場合、まずレントゲンが撮られます。レントゲン所見で得られる膝関節の構造的な変化(骨の硬化像や骨棘)が診断に有用とされている…

荷重感覚が歩行時の足部の運動を促通する

今日(10月30日)、宇宙飛行士の大西さんが国際宇宙ステーションでの滞在を終えて帰還されました。宇宙での滞在期間は116日にも及んだそうですが、今では長期滞在が当たり前なので、あまりニュースでも報じられなくなってしまいましたね… さて、今回は、宇…

変形性膝関節症に良い靴選びのガイドライン

変形性膝関節症と診断されたら、どのように対処するれば良いのでしょうか? 重症度にもよりますが、一般的には薬やリハビリテーションのような保存療法が勧められます。 しかし、近年の変形性膝関節症のガイドラインでは自己管理(Self-management)の重要…

そろそろ臨床実習を再考するべきでは?応用行動分析学による論考

先日、臨床実習について考える機会があったので、今回は、臨床実習の問題点と、応用行動分析学による臨床実習への提言をご紹介しようと思います。 ◆ 現在の臨床実習の問題点 まずは、一般的に言われている臨床実習の問題点を見てきましょう。 実習指導者にお…

変形性膝関節症の術後の痛みが転倒のリスク因子になる

今回は、雑誌Clinical biomechanicsの2016年9月号からオットー・フォン・ゲーリケ大学のHamacherらの報告をご紹介します。 Hamacherらは、2010年ごろより転倒に関する論文をすごい勢いで報告をしています。今回は「人工膝関節術後の疼痛が転倒のリスク因子に…

痙縮の発症メカニズムを理解しよう

テキサス大学のLiらは、脳卒中後の痙縮のメカニズムにおける新しい考え方”New insights into the pathophysiology of post-stroke spasticity”というレビューの中で「痙縮は上位運動ニューロンの損傷によって、脊髄の反射回路の興奮性に対する促通と抑制の制…

網様体脊髄路と前庭脊髄路から筋緊張の制御メカニズムを理解しよう

2015年、テキサス大学のLiらは、痙縮のメカニズムについての新しい知見をまとめたシステマティックレビュー”New insights into the pathophysiology of post-stroke spasticity”を発表しました。 通常、脊髄の反射回路の興奮性は、上位運動ニューロンにより…

腰椎椎間板ヘルニアになりやすい脊椎・骨盤のアライメントとは?

今回は、雑誌European Spine Journalの2014年5月号から「腰椎椎間板ヘルニアが生じやすい脊椎・骨盤アライメント」についての報告をご紹介します。 前回は、腱板断裂のリスクがわかるレントゲン所見の指標である「Critical Shoulder Angle(CSA)」を紹介し…

上位運動ニューロンのメカニズムから痙縮について考えよう

「痙縮とは、上位運動ニューロン病変により、間欠的または持続する不随意な筋活動をきたす感覚-運動制御の障害である」(Pandyan AD, 2005) イギリス・キール大学のPandyanらは、2005年に新しい痙縮の定義を唱え、現代の神経生理学ではこの定義に準拠して研…

腱板断裂術後の再断裂のリスクが15倍になる!? その指標とは?

今回は、雑誌Journal of Shoulder Elbow Surgeryの2016年9月号より、腱板断裂術後の再断裂を予測する指標についてご紹介します。簡易的な指標で、まだ日本ではあまり取り上げられていないので、研究や臨床で試してみるといいかもしれません。 ◆ 腱板断裂の新…

筋紡錘のメカニズムから考える痙縮へのアプローチ

1950年代から、筋紡錘のメカニズムにもとづき、痙縮の原因は「筋紡錘の感度の変化」であると考えられてきました。 『筋紡錘のメカニズムから脳卒中の痙縮について考えよう』 この考えは、1970年代に行われた除脳ネコなどの動物実験の結果からも後押しを受け…

筋紡錘のメカニズムから脳卒中の痙縮について考えよう

「脳卒中の痙縮に対する有効なリハビリテーションの知見はありますか?」という質問を受けましたので、今回から何回かに分けて、痙縮のリハビリテーションについて考察してみようと思います。 「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とは孫子の言葉です。痙縮を…